空飛ぶ彼女の話。
少々遅れました。
『んー……なんとなく、久しぶりな気がする』
空を見てるうちに、飛びたくなったから、外に出た。
よく考えたら、最近ずっとニンゲンの姿で過ごしてて、何するにもあの姿に慣れてしまってた。
でも、それは前みたいに嫌な事でも、怖い事でも無い。
シュンと一緒にいるのが楽しい。
……でも、やっぱり元の姿のときは、危険もある。
ワタシが不用意にニンゲンの近くに止まったら、あからさまに嫌な目で見られて。
場所によってはすぐに追い出される。
ニンゲンの姿では絶対にないのに……。
でも、よく考えたら、ワタシ達も、知らないのが縄張りに近づいたら追い出すこともあったし。
むー……でも、ワタシ達を追い出すニンゲンは、全部がニンゲンの縄張りって思ってる気がする……。
『ん、考えるのやめた。今がいいならそれでいい』
……少し前なら、絶対こんなこと思わなかったけど。
『とりあえず……イチロウのとこに行く』
イチロウはワタシのこと知ってるから、大丈夫。
ほんとは、シュンとかユリカとかいるガッコウにも行きたいけど……ガッコウはまだちょっと怖いから……いい。
『イチロウ、いた』
ビョーインに行くとちょうど、窓からイチロウが見えた。
――コンコン。
と、窓を叩くと、イチロウはすぐに気づいてくれた。
「え? おわ、カラス――……もしかして、夜羽ちゃん?」
『そう』
「……わからないけど、多分返事したんだね? ……どうぞ」
イチロウはシュンやユリカと違って、元の姿だと会話できないみたいだ。
…………シュンもユリカもこの姿でもワタシの言いたい事わかってくれたから、もしかしたらイチロウも、とか思ったけど、ダメみたい。
とりあえず、じゃあ人の姿になろう。
――……じゃない! 服、忘れたっ!
『ぁ――――っ!!』
危ない……人の姿になるとこだった。
前と違って、服を着てないと恥ずかしく感じる……。
シュンにしつこく言われたからかな……?
でも、今は恥ずかしさより、イチロウに見られてるのが嫌だった。
…………そういえば、シュンの時はそんなことなかったような。
私が悩んでいる、イチロウが困ったように笑いながら口を開いた。
「えっと、夜羽ちゃん……?」
『………………帰る』
ほんとは話に来たけど、今は無理。
むぅ、何も考えないできたのが間違い。
「え? あ、夜羽ちゃーん……行っちゃった……」
ビョーインを出てた。
……イチロウ、困ってた……ワタシの準備不足だから。
……悪いことしたから、今度謝らなきゃ。
今は……ん、帰ろ……。
そう思っていたのだが……。
『――――――――ァー……』
『…………え?』
家に帰る途中、かすかに聞こえた声に、ワタシは無意識にそっちに向かっていた。
繋ぎの話です。
今後どうなるのか、頭の中の話をうまく文にできるのだろうか……。
感想お待ちしております。