プロローグと彼の話。
初投稿です。更新スピードは鈍足な上、読みづらいとは思いますが、気分を悪くせず、あたたかい目で見守ってもらえると幸いです。
元々、動物は好きじゃない。別に嫌いというわけでもないが。わざわざ飼いたいとか触りたいとかは思わない。
とは言え、仮に大の動物好きでも、敬遠されがちな動物もいる。
俺の腕の中にいるこいつもどちらかと言えば敬遠される方に分類されるだろう。
それでも、助けたいと思ってしまったのは何故だろうか?
……いや、ただの気まぐれだろうな。
現在、俺、高校一年生。夏休みも中盤に差し掛かったところだ。
が、しかし、やることが何もない。金は……まあ、なくはないがわざわざ遊びで無駄金を使うほど馬鹿じゃない。
何よりわざわざ遠出するのが面倒くさい。
とりあえず昼過ぎに起きた俺はこれから、暇つぶしの散歩ついでに矢島さんのところまで遊びに行くところだ。
矢島さん本名、矢島一郎。二十四歳で、職業は獣医だ。
矢島さんは、顔は精悍な感じで割りとかっこいいし、少々お喋りだが、気遣いの出来る優しい人だ。けれど結婚はおろかは彼女すらいない、そして出来ない。
なぜか。
年の割に髪の毛が少々――いや……それは関係ないだろう。
出逢いが無かっただけだろう。うん。
それはさておき、どうして、ただの高校生の俺が、獣医のおっさんと知り合いであるのか、それは同じクラスのある女子がきっかけだ。
そいつは、少々頭は悪いが、いい奴だ。
しかもかなりの動物好きで、暇さえあればペットショップや、野良猫のたまり場などによく足を運ぶらしい。
そんな奴が、偶然学校の帰りに怪我をしている大型犬を見つけたらどうするだろうか。そして偶然そこに同じクラスで暇そうな男子が通りかかったのを見つけたら、いったいその男子に何を求めるだろうか。
「お願い! この子を運ぶのを手伝って!」
まあ、そう言うだろう。
基本的にクラスの奴らと必要以上に関わりを持たずに学校生活を送っている俺だが、流石にこの状況で見なかったことにするのは、後味が悪い。
そして確実に後々、面倒くさい事になる気がするので、仕方なく手を貸してそのまま近くの動物病院に連れて行った。
俺は、すぐに帰るつもりだったが、怪我をした犬がどこかの飼い犬だったため、飼い主が来るまでその場にいることになった。
そのとき帰ろうとする俺を呼び止めたのが、矢島さんだった。
結局、治療を終えた矢島さんと一緒に犬を連れてきた子と話をしながら飼い主を待つことに。
その間に話した内容はほとんど覚えていないが、気が付くと俺は矢島さんに心を許していた。
飼い主が来た後にすぐ帰ったが、それ以来、暇があれば今のように矢島さんがいる動物病院にちょくちょく顔を出すようになった。
……そういえばこのあたりは、大型犬を見つけた場所だ。
「おーい」
こちらに呼びかけながら駆けて来たのは、同じクラスの飯田愛実。彼女が一緒に犬を動物病院に連れて行った子だ。
あの一件以来、彼女と仲良くなった。
――正確に言うなら、懐かれた。
動物病院に行った次の日から、学校に行くとやたらと話しかけてくるようになり、たまに帰りもついてくるようにもなった。
あの時のクラスの連中の驚きかたはハンパなかった。
他人から見たら、付き合っているように見えるかもしれない。実際そう思っている奴も多いだろう。
飯田愛実は少し幼い顔立ちに大きな瞳が印象的な少女といった感じ。しかも、裏表のない性格で、面倒見も愛想も良い。付き合っていると思われて、悪い気はしなくもない。が、静かな生活を好む俺は彼女が少々苦手だ。
「こんにちは! 瞬君」
「……おー」
「どこ行くの? また矢島さんの所?」
「ああ」
「瞬君、矢島さんと仲いいもんね。私も一緒に言ってもいい?」
「……別にいいけど」
どうも俺は押しに弱いような気がする。
「瞬君の家から、矢島さんの所まで行くのに絶対ここ通るよね。私の家ここの近くなんだ」
――どうりでここ通るたびに会うと思った。っていうかもう待ち伏せに近いじゃないか「あ、待ち伏せとかじゃないよ? たまに私の家の窓から通るのが見えたりするから」……。
彼女は笑いながら、そう答えた。
一瞬、心を読まれたかと思った。
「別に、見えたからって一緒に行こうとしなくていいんじゃない? 飯田さん」
「えーいいじゃん。お友達と一緒に遊ぶのは普通のことでしょ? それよりいい加減、名前で呼んでよー」
「……ソーデスネ」
やはり懐かれている。
「ちょっ! 何その生返事! ちゃんと返事してよー!」
「ソーデスネ」
「酷い!」
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