小さな天使
掲載日:2026/03/16
小さな天使が、ぼくの耳の横を通ってゆく
その羽音はあまりにもいたいけで
小さな天使が、ぼくの顔の前を通ってゆく
その匂いはあまりにも初々しくて
光るりんぷんをまき散らかしながら通ってゆくその天使は、ぼくにはまぶしすぎるほどに愛おしい
だれにもみつからないように、ぼくだけの物だから
そっと、たんすに仕舞っておいたんだ
おかあさんにみつかったら、きっとごみ箱なんかに捨てられちゃうから、おとうさんにみつかったら、きっと売りに出されちゃうから
ぜったい、だれにもみつからないように…
そっと、仕舞っておいたはずだったのに
そうっと、仕舞っておいたはずだったのに!
きみは羽をまき散らかしながらしんでいて、そのままぼくにあの羽音を聞かせてくれることはもうなかった
きみはだんだん血の気が足りなくなっていって、そのままぼくに光るりんぷんすらも見せなかった
だからぼくも、息をまき散らかしながらしんでいった




