続けてこちらからお選び下さい
「こ...これ以上私を愚弄するな!絶対に何も話さないぞ!」
「サイドメニューはどうなさいますか!?きゅうりのサラダ、オニオンミルクスープ、ほうれん草の辛子和え、なしの中から選ぶ事が出来ます」
エレナは怒りに震え、声を低くした。視線が、床の埃に落ちる。
「スープで。これ以上私を弄ぶな!」
「食後のデザートはどうなされますか!?パフェ、ケーキ、アイスクリーム、なしの中から選ぶ事が出来ます!!」
エレナは顔を真っ赤にし、言葉を詰まらせた。
「デザートなど要らん!...だが、もし強いて言うなら...アイスを...」
「必要ないんですか!?アイスがほしいんですか!?はっきり口を割って下さい!!」
エレナは声を荒げた。
「アイスが...食べたい!これで満足か!?もう私をからかうのは止めてくれ!」
「アイスは、バニラ味、チョコ味、ストロベリー味の3種類から選べます!!口を割って下さい!!」
エレナは顔を両手で覆い、小声で呟いた。肩が、わずかに震える。
「ストロベリー味を...。もう、もう勘弁してくれ...」
「了解しました!!それではカツカレーの中辛に、オニオンミルクスープをつけて、食後にストロベリーアイスでよろしいですね!?」
エレナは顔を真っ赤にしたまま、声を震わせた。牢屋の扉が、かすかに軋む。
「そうだ。これ以上私を...弄ばないでくれ...」
尋問官はメモを畳み、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「な〜にが何も話す事はないだよ、バカ騎士が!!ガンガン話してるじゃねぇかよ、バカ野郎!!シェフに伝えて来るから待ってろ、バーカ、バーカ!!あ〜、スッキリした!!」
エレナは机を叩きつけ、顔を真っ赤にした。
「こ...この屈辱!絶対に後悔させてやる!」
数十分後、別の人間が食事を運んできた。トレイに載せられたカツカレーの湯気が、部屋に広がる。男はトレイを鉄格子越しに差し入れ、ため息をついた。
「とりあえずカツカレーと、スープ運んで来たけど、あのさぁ……?」
エレナは顔を伏せ、声を潜めた。カレーの香りが、鼻をくすぐる。
「私に構うな。さっさと用件だけ済ませろ。」
「うちみたいな捕虜の待遇いい所なんてないぜ?別に情報は吐かなくてもいいから、食事のメニュー希望ぐらいは素直に言わね?いつもお前が変な意地張るせいで、アイツ滅茶苦茶怒ってんだぜ?」
エレナは目を合わせられず、小声で呟いた。スプーンを握る手が、わずかに震える。
「分かっている。だが、私の誇りが...。」
「...お前の気持ちもわからなくはないけどさぁ……?とりあえず、考えてくれよ……アイスはまた後で持ってくるから、ゆっくり食べろよ」
男はそう言って部屋から出ていった。扉の鍵が、カチリと音を立てる。
エレナは手を握りしめ、声を震わせた。カレーの熱気が、頰を温める。
「明日は...カレーにコロッケを付けてくれ。」
牢屋の闇に、カレーの香りが溶けていく。エレナの誇りは、今日も少しだけ、柔らかくなった。




