塀の街
白い塀に囲まれたあの街の中心の塔には何があるのだろう。
丘の上から私はその塔を見つめながらそのように思っていた。
何度その街に行こうと思っても、入り口であろう門の前で立ち止まってしまう。
何時この門が開いて私を街に入れてくれるのだろうか。
ただ門が開く気配はない。
私はまた丘に登り街を見つめた。
晴れの日も、雨の日も。日の昇る朝も、天空に星の輝く夜も。
街を見つめながら私は街の住民や白い塔の中を想像するしかなかった。
ある日の朝、門が開き始めた。
私は「ああ、やっとあの街に入ることができるのか」と喜びながら
門に向かって歩き出した。
門の前には老人から子供まで多くの人が集まっている。
なぜか皆悲しそうな顔をしている。
街に入るのがうれしくないのか。
やっと前にいた人が門の中に入ったと思ったときには門が閉ざされてしまった。
私は目を覚ました。
私は周りを見渡した。
そばにいた女性が驚いた顔をして部屋の外に出て行った。
自分が見た夢の街を書いてみました。
この話の「私」と作者は関係ありません。
でも入りたいと思ってはいましたが。(笑