第85夢 子どもを預かる夢
飢える子どもが減りました。
子どもが増えています。
暖かな陽射しが降り注ぐ寺の境内。かつて弟子だった者たちは、今やそれぞれの寺や神社を守り、繁栄させていた。
「お二人とも、お久しぶりです!」
新たに独立した弟子たちが、次々とミツと三郎のもとを訪れる。
「先生、見てください! 今年の米の収量は村の平均の2倍です!」
「うちでは麦もたっぷり採れました!」
「金銀も掘れましたよ!」
嬉々として報告する弟子たちの姿に、ミツと三郎は目を細めた。
10人の弟子が巣立ち、それぞれ10人の弟子を育てた結果、弟子の数は100人を超えた。翌年には100の寺や神社が復興し、ついに1000人の弟子たちが各地で活躍するようになった。
もはや、これはひとつの大きな運動だ。
弟子たちは村々の農作業を請け負い、馬を使った効率的な農法を広め、どの村でも米麦の収量は倍増した。飢えは遠ざかり、村には子どもたちの笑い声が戻ってきた。
だが、ある日、三郎は深刻な顔で呟いた。
「…食料が増えて、捨てられる子どもが減ったのは良いが、それでもまだ親が育てられない子がいる。親の目が届かず事故にあう子どもたちもいる。」
ミツも腕を組む。
「だったら、うちで預かりましょう! 託児所を作って、寺子屋も開いて、給食も出すんです!」
「それは、いいですね!」
「子どもたちが腹をすかせるなんて、もう終わりにしましょう!」
そして、それぞれの寺の一角に託児所ができた。村の子どもたちは馬車で迎えに行く。
馬車の上で、子どもたちは目を輝かせた。
「わーい! すごい! 速い!」
「馬ってかっこいい!」
歓声をあげる小さな命たち。その笑顔を見て、ミツと三郎は確信する。
「きっと、もっと良い世の中にできる」
そう、これは始まりなのだ。
託児所ができ、村の子どもたちの笑顔が増える一方で、ミツと三郎にはもうひとつ気がかりなことがあった。
それは、夫を亡くし、乳飲み子を抱えた女性たちのことだった。
戦の時代は終わったとはいえ、病や事故で夫を失った女性たちは少なくない。彼女たちは働きたくても子どもを抱え、思うように働けず、苦しい生活を送っていた。
そんな女性たちは農家の手伝いをして暮らしていたが、寺が農作業を請け負ったせいで、彼女たちの仕事が減ってしまった。
「だったら、寺で雇いましょう!」
ミツの言葉に三郎も頷いた。
「自分の子どもを育てながら、村の子どもたちの世話もしてもらう。もちろん、食事も提供するし、しっかりと賃金も払う」
知らせを聞いた女性たちは、最初こそ戸惑っていたが、寺に集まり、話を聞くと次第にその顔が輝いていった。
「ほんとうに、私たちにそんな仕事が…?」
「子どもがいても、大丈夫なんですか?」
「むしろ、自分の子どもと一緒にいられるのが一番いいんですよ!」
ミツが力強く答えると、涙を浮かべる者もいた。
「…ありがとうございます! こんな話、夢みたいです!」
こうして、寺の託児所はますます活気づいた。
赤ん坊を抱いた母たちが、子どもたちの世話をしながら楽しそうに笑い合う。
「おかあさん、だっこ!」
「はいはい、おいで!」
自分の子も、村の子も分け隔てなく抱き上げ、歌を歌い、ご飯を食べさせる。
「ちゃんと賃金がもらえるなんて…!」
「子どもが泣いても、怒られずにすむ…!」
喜びに満ちた声があふれる。
三郎は、それを見守りながら静かに呟いた。
「生きることに追われるだけじゃなく、少しでもみんなが安心できる場所を増やしたいですね。」
ミツも、そんな三郎の手をぎゅっと握りしめた。
「私たちなら、もっとできますよ!」
春風が吹き抜け、寺の中庭では子どもたちの笑い声が響き渡っていた。
ミヤザワケンジ2.0の予想通り、南部藩では人口爆発が起ころうとしていた。
人口爆発への対応が必要です




