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第59夢 みんなで石灰窒素で堆肥を作ろうの夢

弟子たちが石灰窒素を使った堆肥づくりに挑みます。

今日も弟子たちは、朝ご飯をお腹いっぱい食べてから作業に取りかかった。今日はまず堆肥を積むための木の枠を組み立てる作業だ。


「これは、実家でも使っていました。」


そう話しながら、手際よく木枠を組み立てる弟弟子がいる。


「うちは、ただ山のように積んでいただけだったので、こういうものを作るのは初めてです。」


興味深そうに木枠を触りながら言う妹弟子もいる。


「枠があると、崩れずにきれいに積めるし、発酵も均等に進むんですよ。」


ミツが説明すると、弟子たちは感心した様子で頷いた。


「なるほど、こうやって堆肥をうまく作るのですね。」


「一つ一つ勉強になりますね。」


そんな会話を交わしながら、弟子たちは力を合わせて木の枠を組み立てていった。


次に、弟子たちは、目出し頭巾をかぶり、ゴーグルをしっかりとつけた。こうすると、まるで忍びの者のようだ、とお調子者の弟弟子がはしゃぐが、ミツの咳払いですぐに静かになった。


石灰窒素を水に溶かす作業に入る。大きな桶にたっぷりと水を入れ、ミツが慎重に説明した。


「石灰ちっそは、一度にたくさん入れると反応が激しくなって熱を持ちます。ですから、必ず少しずつ加えて、ゆっくりとかき混ぜてくださいね。」


弟子たちは真剣な表情で頷き、慎重に作業を進めた。一人が柄杓で石灰窒素を少しずつ水に入れ、もう一人が木の棒で静かに混ぜる。


「こうやって安全に扱えば、大丈夫です。でも、もし熱くなりすぎたら、手を止めて少し時間をおいてくださいね。」


ミツの言葉に、弟子たちは真剣な表情で作業を続けた。ゴーグル越しの目が、いつもよりも引き締まって見えた。


畑の隅に木の枠をしっかりと設置した。すぐそばには、先日刈り取った草が大きな山のように積まれている。


「では、始めましょう。」


ミツの合図で、弟子たちは刈草を枠の中へと入れ始めた。大きな束を抱え、枠の中へ運び込むと、次はそれを踏み固める作業だ。


「しっかり踏み込んでくださいね。」


ミツの声に、弟子たちは足を使って踏みしめる。足元には、特別に用意した足袋と脚半をつけていた。油漬けにした後、さらにロウを塗ったもので、水が染み込むことはない。


「この足袋と脚半なら、濡れずに作業できますね。」


感心したように言う妹弟子に、三郎が頷く。


「これなら安全に作業できますからね。石灰ちっそは皮膚がかぶれるので注意してくださいね。もし皮膚についてしまったらすぐに用水路で手足を洗ってくださいね。」


十分に踏み固めたところで、ミツが石灰窒素を溶かした水を持ってきた。


「では、これをかけます。」


弟子たちは慎重に柄杓を使い、草の上に均等に水を撒いていく。焦らず少しずつ作業を進めた。


「もう一度踏みますよ。」


再び草を踏み固め、しっかりと圧縮する。弟子たちは、足裏に伝わる感触を確かめながら、順番に踏みしめていった。


「こうして積み上げていけば、50日ほどで立派な堆肥になります。」


ミツの説明に、弟子たちは驚きの表情を見せながらも、次々と作業を進めていった。


数日後、ミツと弟子たちは畑の隅に積み上げた刈草の様子を見に来た。


「すごい!もうもうと湯気が上がっています!」


驚きの声をあげる弟弟子。積み上げた刈草から、まるで温泉のように白い湯気が立ち上り、あたりに温かい空気が漂っている。


「糞尿も混ぜていないのに、こんなに発酵するなんて!」


「いや、むしろ糞尿を混ぜた堆肥より熱がすごいぞ!」


口々に驚きを語る弟子たちに、ミツは微笑みながら頷いた。


「今日は、この堆肥の切り返しをします。」


「今日は防塵眼鏡や頭巾はしなくていいんですか?」


妹弟子の問いに、ミツは優しく答える。


「石灰窒素は、数日経つと安全な石灰と肥やしに分解されます。だから、もう防塵眼鏡も頭巾も防水足袋も必要ありませんよ。」


「よかった、あれかっこいいけど暑いんだよな。」


弟弟子のひとりがホッとした表情を浮かべ、周りもつられて笑った。


「では、木枠を外して、隣に新しく積み替えていきましょう。」


弟子たちは木枠を外し、隣に枠を設置した。そして、湯気を上げる刈草をスキで運び、新しい枠の中へ積み替えていく。


「すっかり草が黄色くなってる!」


「さわると、すごく温かい!」


弟子たちは刈草の変化に目を丸くする。


「この調子なら、50日より早く立派な肥やしになりそうですね。わたしが実験したときより早いです。きっともう夏で暑いからですね。」


ミツが嬉しそうに言うと、弟子たちはまた驚いた表情を見せながらも、笑顔で作業を続けていった。


そこに、三郎が新しい農具を持ってやってきた。

スキのようだが木の棒の先に先端がとがった鋼が着いていて、三つに分かれている。


「お坊さまに教えていただいた、『ほおく』という農具を打ってみました。」


「すげえ!みつまたの槍だ!」


お調子者の弟弟子が叫ぶとみんな笑った。


「すごい、スキより軽くて使いやすいし、たくさん草を運べるぞ!」


別の弟弟子はさっそく刈草を運びながら叫んだ。


便利な道具と工夫で農作業が改善されていくようすに、みんな希望に胸を踊らせるのだった。

このあとも堆肥散布、耕起、種まきなどに新型農具が次々に登場して農作業を改善していきます。

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