第55夢 十人十色の若者たちの夢
新しい仲間が増えました。
数日もしないうちに、農家の三男三女を中心に十人の若者が集まった。
彼らはそれぞれ異なる事情を抱えていた。
「この手で一旗揚げてやる!」と野望に燃える男もいれば、「どうせ働いても、いいことなんてないさ……」と無気力な男もいた。
ある娘は、「私は家族に売られたのでは……」と涙をこぼし、またある娘は、「まぁまぁ、みんな仲良くしましょうね」とみんなの世話を焼きたがった。
個性豊かな顔ぶれである。
ミツと三郎は、彼らを前にして仕事の概要を説明した。
「皆さんには、荒れ地の開墾と、田畑の手入れをしてもらいます。また、『かがくひりょう』という特別な肥やしの使い方を覚えてもらいます。」
化学肥料という聞きなれないことばに、若者たちは少しざわざわとした。
「食事と寝床は用意します。食事は寺ですから魚や肉はありませんが、玄米ご飯とお汁は食べ放題です。」
おお、と歓声があがった。
「危険な作業もありますので、私たちの指示をよく聴いて働いてください。」
真剣な表情で語る二人に、若者たちは神妙な面持ちで頷いた。
次に皆で薪を割り、風呂を沸かした。
集団生活は清潔がだいじだ。
薪割りを終えた若者たちは、湯に浸かりほっとひと息ついた。
その中で、ひときわ目を輝かせた男が三郎のもとへ歩み寄った。
「三郎さま、俺はただの雇われ人足で終わるつもりはありません。」
三郎は湯から上がり、手拭いで顔を拭きながら男を見た。
「ほう、それは頼もしいですね。あなたのは何をしたいのですか。」
男は拳を握りしめ、力強く言った。
「俺は、自分の土地を持ち、家族を養える男になりたいのです!そのために、ここで働きながら学びたい。農業でも商いでも何でもやります!」
三郎はじっと男を見つめた。
「あなたのような志を持つ者が増えれば、お寺の開墾もますます進むでしょう。」
男は目を輝かせた。
「ありがとうございます!何でもやります。難しい仕事でも、大変な作業でも、俺にやらせてください!」
三郎は腕を組み、少し考え込んだ後、静かに言った。
「みなさんには、畑仕事だけでなく、肥料づくりや鍛冶仕事も手伝ってもらいますよ。」
男は驚いた顔をした。
「鍛冶仕事……ですか?」
「ええ。農具を自分で直せるようになれば便利です。いずれ、新しい村をつくるようになれば、鍛冶屋も必要です。」
男はしばし考えた後、大きく頷いた。
「新しい村…。わかりました!よろしくお願いします!」
三郎は満足げに頷いた。
「よし、ともにがんばりましょう。」
若者たちの希望がかないますように。




