第54夢 農家の次男次女三男三女大募集の夢
ミツと三郎は肝煎(村長)に開墾の相談に行きます。
朝日が昇るころ、ミツと三郎は村の肝煎(村長)の家へ向かった。寺の荒れ果てた田畑を復活させ、さらに裏山を切り開きたいという計画を相談するためである。
「なるほど、お寺の土地を開墾し、新たな田畑にするおつもりですか。」
「お代官さまのお許しが必要でしょうか?」
「実は、先日お坊さまが夜いらっしゃいまして、お話しは伺っております。」
「おお、そうでございましたか!」
「お代官さまにもお尋ねしたところ、お坊さまはご城主さまのお覚えもめでたく、ご城主さまは、こころよくお許しくださったそうです。」
「それはありがたいことでございます。」
「お坊さまがなんでもすばらしい銀の精錬法を教えてくださったそうで、ご城主さまはたいへんお喜びだそうです。」
「なるほど。そうでしたか!」
「まあ、もともとお寺の田畑はお寺のものですから勝手に田畑を直してもいいのですがね。お上は山の木を切ることにうるさいので、お坊さまは事前に根回しをされたのでしょう。木だけに、ははは。」
「肝煎さま、今回の開墾では田畑を増やす分と、刈草場をつくるために、ヤナギのようなかん木低木やタケやササは切り開きますが、クヌギやコナラのような大きな木や、ましてスギなどは伐らないつもりです。」
「おおそれは、ますます安心ですな。」
肝煎は山の木を伐って洪水や山崩れになることを恐れていたのか、安心した表情を見せた。
「肝煎さま、折り入ってお願いがございます。農家の次男次女、三男三女などを集め、住み込みで働いてもらいたいと考えております。人集めにご協力いただけないでしょうか。」
肝煎(村長)は腕を組み、じっくりと話を聞いていた。
「いくらお寺でも、ただ働きでは、人は集まりませぬぞ。」
「もちろんです。」
三郎が答えた。
「大工の日当並みの賃金を払い、住み込みで食事も提供いたします。さらに、支度金を家族にお渡しするつもりです。」
肝煎(村長)の目が見開かれた。
「ほう、それはまた太っ腹な条件ですな。」
「数年働いてくれた者には、男女問わず一人につき五反(約5,000㎡)の田畑を分け与えるつもりです。」
ミツの言葉に、肝煎(村長)はしばし考え込んだ。やがて、満面の笑みを浮かべる。
「それほどの条件なら、いくらでも人が集まりましょう。村には、土地を継げず、先行きに不安を抱える若者が大勢おります。彼らにとって、これは願ってもない話です。」
「ありがとうございます。村の皆さまにお声がけいただけますでしょうか?」
「もちろんですとも。」
肝煎(村長)は力強く頷いた。
「それにしても、寺の荒れ地を田畑に変え、裏山まで開墾するとは……三郎殿とミツ殿は、まるで世直しでもされるようですな。」
「いいえ。ただ、お坊さまの教えのとおりに、農家の次男次女、三男三女にも生きる道を示したいだけでございます。」
ミツと三郎は微笑んだ。
こうして、新たな開拓の夢が村へと広がり始めたのである。
よい若者が集まるでしょうか?




