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第47夢 化学肥料をつくろう その6 石灰窒素合成開始!の夢

いよいよ化学肥料石灰窒素合成実験開始です!

太陽が昇り、山の端から光が射し込む。ミツと三郎は息をのんで太陽炉を見つめていた。反射鏡が輝き、石灰と木炭を詰めた第1の炉がじわじわと熱せられ始める。


「ついに始まりましたね!」


ミツがワクワクした様子で三郎に話しかける。


「はい。うまくいけば、この第1の炉で昨日のように『かあばいど』ができるはずです。」


三郎も期待に満ちた表情だ。

次第に炉が赤く輝き始め、やがて白く光りだした。2000度の高温に達し、木炭と石灰が反応を始めたのだ。


「わあ! 炉が光ってる!」


ミツは目を輝かせる。


「それだけ高温になってるってことですね。」


三郎は頷く。


しばらくすると、第2の炉の脇から突然火が立ち昇った。


「あっ! 火がつきましたよ!」

「おお、これは、 『いっさんかたんそ』という気体が空気と混ざって燃え始めたんですね!」


「不思議ですね!」


「『いっさんかたんそ』が燃えて『にさんかたんそ』になり、消石灰に吸収されるそうです。そして『ちっそ』だけが残る。そして、その『ちっそ』が第3の炉に流れていくんです。」


三郎が説明すると、ミツは


「なるほど!その『ちっそ』が肥やしのもとになるんですよね。」


と感心したように頷いた。


第2の炉の中では、二酸化炭素が消石灰に吸収され、熱い窒素ガスだけがゆっくりと上昇していく。


「さて問題はこの第3の炉ですね。」


三郎が真剣な表情で言う。


ミツは第3の炉を見ながら、


「でも……この炉、なんだか一番肝心なのに、見た目が地味ですね」


とぽつり。


三郎は思わず吹き出した。


「ははは、確かにそうですね。でも、この中ではすごいことが起きてるんですよ。『かあばいど』が『ちっそ』を取り込んで、石灰ちっそになっているはずですよ。」


「見えないところで働くなんて、まるで縁の下の力持ちですね!」


「その通り。見た目は地味でも、一番大事な役割を果たしているんですよ。」


「なんだか、農家みたいですね。」


「え?」


「だって、お米や野菜を作っている人たちは、お城のお殿様や、町の人たちからは、あまり見えないけど、実は一番大切なお仕事をしてるでしょう?」


「確かに。」


三郎はしばらく考え込んでから、にっこりと微笑んだ。


「そう考えると、第3の炉がちょっと誇らしく見えてきましたね。」


「ふふっ。炉さん、がんばってくださいね!」


ミツが炉に向かって声をかけると、三郎も


「よし、農家のみなさんがお腹いっぱい食べられる幸せな世の中をめざして、最後までしっかり見守ろう!」


と気を引き締めた。


二人はじっと炉を見つめ、石灰窒素が無事にできることを願いながら、熱い照り返しの中で汗を拭った。


夕方になり炉が冷えてきた。

ふたりは口と鼻を白い手ぬぐいで覆い、まず第1の炉の中身を取り出した。

クリーム色の石のような物質ができていた。かけらを取り出し少量の水をかけて火打ち石で火花を飛ばすと燃えた。カーバイドができている。


第2の炉の中身を取り出した。

はじめに入れた消石灰に似ている白いつぶ。赤い朝顔の花を絞った汁をかける。ほとんど赤いままだ。消石灰なら真っ青にかわるはずだ。消石灰から炭酸石灰にかわっているようだ。予定どおりだ。


さて、いよいよ、第3の炉の中身を取り出す。灰色の粉状の物質ができた。


「『かあばいど』より灰色っぽいですね。」


ミツが息を飲むように、つぶやく。


「確かめてみましょう。」


三郎は灰色の物質に水をかけ、火打ち石で火花を飛ばした。火はつかない。


「とりあえず、『かあばいど』ではなくなったようです。石灰ちっそになっているといいのですが。」


ミツがニッコリと笑って言う。


「えへん、ここからは農業の先生、おミツさまにおまかせあれ!」


「ははは、これは頼もしい!よろしく頼みますよ。」


三郎が笑顔で言った。

ふたりは、愉快そうに笑いあった。

さて、石灰窒素はできたのでしょうか?

農家の三女ミツの腕前を発揮するときがきました。

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