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第45夢 化学肥料をつくろう その4 カーバイドランプの夢

カーバイドランプで世の中を明るくする夢をミツと三郎は語り合います。

「ついに『かあばいど』ができましたね!」


ミツはクリーム色の石を竹箸でつかんで見つめながら、嬉しそうに声を上げた。


三郎もうなずきながら、丁寧に説明する。


「『かあばいど』は、『かがくひりょう』の原料になるだけでなく、とても明るい常夜灯の燃料にもなるそうですよ。」


「まあ! そんなにすごいものなんですね!」


ミツは目を輝かせる。


「お坊さまに教わった方法を試してみましょう。『かあばいどらんぷ』という灯りを作りますよ。」


三郎はそう言うと、そばに置いていた南部鉄瓶の蓋をはずし、小さなカーバイドのかけらをいくつか中に入れた。


ミツはワクワクした様子でその様子を見つめる。


次に三郎は、底に小さな穴の開いた太い竹筒を鉄瓶の上に乗せ、隙間を粘土でしっかりとふさいだ。


「この竹筒に水を入れると、少しずつ水が落ちていきます。そして『かあばいど』に水がかかると、『あせちれんがす』という燃える気体が発生するのだそうです。」


ミツは不思議そうに竹筒を覗き込んだ。


「さっきも水をかけた石がちょっと燃えてびっくりしました。そんな理由があったんですか!水をかけるだけで、燃える気体が出るなんて不思議ですね?」


「まあ、見ていてください。」


三郎が竹筒に水を注ぐと、ポタッ、ポタッと水滴が落ちていく。


すると、鉄瓶の中から、シュワシュワ……という小さな音が聞こえ始めた。


ミツは驚きながらも興味津々で耳を澄ませる。


「本当に何かが起こっていますね。中で泡が出ているような音ですね!」


三郎は慎重に一分ほど待った。


「空気と『あせちれんがす』が混ざった状態で火をつけると爆発してしまうそうです。鉄瓶のなかの空気が追い出されて『あせちれんがす』だけになってから火をつけると安全なのだそうです。」


そして、火打ち石を手に取り、南部鉄瓶の注ぎ口に向かって火花を散らす。


——ボッ……!


瞬間、注ぎ口からあかあかと明るい炎が勢いよく燃え上がった。


「わあっ!」


ミツは驚きつつも、その美しく力強い炎に見入る。


「すごいすごい! こんなに明るいなんて!」


三郎も満足そうにうなずく。


「水がなくなるまで、この炎は一晩中燃え続けるそうですよ。」


「まあ……! こんなに明るい光があれば、夜でも安心ですね!」


ミツは炎を見つめながら、感激したように言った。


ふたりはその光を見つめながら、お坊さまの知識の不思議と可能性に胸を躍らせていた。



三郎手づくりの即席カーバイドランプはふたりが作業をしているあいだも、昼食の握り飯を食べているあいだも、ずっと燃え続けた。

あたりはだんだん暗くなってきた。


ミツと三郎は、夜の沢のほとりでカーバイドランプを灯しながら、その明るさに目を丸くしていた。


「すごいですね、三郎さま! あんどんの百倍明るいです!」


ミツは眩しそうに目を細めながら、ランプの炎を見つめた。


「まさか、こんなに明るくなるとは、私もびっくりしました。夜の闇がまるで昼みたいですね。」


三郎も感心しながら頷いた。


「こんなに明るければ、夜でもお仕事ができますね。例えば、農作業だって、暗くなっても続けられますね。」


ミツは楽しげに言った。

三郎も楽しげに言う。


「それに、寺子屋でも夜の勉強がしやすくなりますね。私は、あんどんの小さな灯りで目をこすりながら本を読んでいました。もっとたくさんの子どもたちが学問に励んで、夜遅くまで学べれば、みんなが字が読めて、そろばんができて、世の中がみんな賢くなりますね。」


「うふふ、それって素敵ですね!」


ミツは嬉しそうに微笑んだ。


「そうだ!三郎さま、それに、この光があれば、夜のお仕事も増えるかも。例えば、市場が夜まで開いていたら、買い物がしやすくなりますよね。」


「なるほど。それに、旅籠や茶屋や居酒屋も夜遅くまで営業できる。旅人も安心して泊まれるようになるし、宿場町も賑やかになるでしょうね。」


「それなら、お芝居やお祭りも夜まで楽しめるようになりますね! 夜も帰り道で困らないし。」


「確かに。明るい光があれば、街道も安全になりますよ。見回りもやりやすくなるし、泥棒も減るでしょう。」


「あと、船や灯台でも使えませんか? もし、港の灯台の焚き火を『かあばいどらんぷ』にかえたら、夜の航海も安全になりますよね?」


「そうですね。漁船にも積めば、夜釣りや沖での漁もやりやすくなりますね。魚も集まってくるかもしれない。」


そこに蛾が飛んできて、炎に入ってあっというまに燃え尽きた。


「わっ、びっくりした。そうだ、ちょっとかわいそうだけど田畑の害虫を集めて燃やすこともできるかもしれませんよ。」


「おお、ミツさん。それはいい考えですね。まさに『飛んで火に入る夏の虫』だ。ははは。作物が虫にやられなくなれば、飢えた子どもも減るかもしれませんよ。」


「すごい! 三郎さま、私たちが作ったものが、こんなに役に立つかもしれないなんて!」


ミツは感動したように目を輝かせた。


「これから、もっと便利な使い方を考えていきましょう。人々の暮らしが豊かになるように。お坊さまのお許しが出たらみんなに教えましょう。」


「はい!」


ふたりは明るいカーバイドランプの光を見つめながら、新しい未来を夢見て微笑み合った。

次回はいよいよ化学肥料合成炉を組み立てます。

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