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第26夢 三郎の美しい日本刀の伝統と秘密のあの薬品の夢

三郎は太陽炉で簡単に鋼鉄が作れたので悩んでいました。

伝統的な鍛冶屋の技術は失われ、みんなつぶれてしまうのでしょうか。

夜の静けさが寺を包み込み、三郎は自室で横になっていた。だが、心は穏やかではなかった。太陽炉の技術がもたらす未来の可能性と危険について考えすぎて、なかなか眠れなかったのだ。


ミヤザワケンジ2.0は三郎の意識レベルが低下した一瞬をとらえて、僧侶が帰って話をしているかのような夢を三郎の記憶に送り込んだ。


三郎は、ふいに、板戸の向こうから足音が聞こえたような気がした。三郎は体を起こし、目を凝らした。


「…お坊さま?」


その声に応えるように板戸が静かに開き、そこには確かにお坊さまが立っていたような気がした。三郎は慌てて座り直し、頭を下げた。


「お坊さま、夜分遅くにお帰りとは…。お疲れ様です。」


お坊さまは穏やかに微笑み、床に腰を下ろした。


「疲れてはいませんよ、三郎さん。少しあなたと話をしようと思いましてね。太陽炉実験の成功は素晴らしかったですよ。でも、あなたは最近悩みがあるようですね。」


三郎は驚きつつも、その言葉に心を引き締めた。三郎はためらいながらも、最近の悩みをお坊さまに打ち明けた。


「実は、太陽炉で鋼鉄を簡単に作れるようになることを、私は心配しております。この技術が広まれば、今までの鍛冶屋が仕事を失うのではないかと…。鍛冶屋たちが代々受け継いできた技術や伝統が、なくなってしまうのではないかと不安なのです。」


お坊さまは静かにうなずきながら答えた。


「三郎さん、あなたの心配はもっともだ。新しい技術が生まれると、時に古い技術や仕事が失われることもある。それを恐れる気持ちは理解できます。太陽炉による鋼鉄の製法の普及については、慎重に進めるつもりです。」


三郎は頭を下げて感謝した。


「慎重に…。ありがとうございます。」


お坊さまは力強い口調で答えた。


「この製法は、準備を整えた上で、全国に公平に広げるつもりです。急に広めて混乱を招くことがないよう、時期を見て計画的に行います。」


「そのためには、どのようにされるお考えでしょうか?」


「寺社のネットワーク、いやいや、そうではない、そう、情報の網を活用します。心配はいりません。全国どの町にも村にも寺はあります。幕府にも朝廷にも僧侶はいます。寺、神社、僧侶、神職を通じて公平に技を広めましょう。」


「ねっとわあく?唐天竹の真言でしょうか?とにかく鍛冶屋がつぶれないようにしていただけるのであれば助かります。よろしくお願いします。」


三郎の心に少し安心が広がった。


お坊さまは少しあきれたように微笑んで言った。


「それにしてもあなたは無欲だ。自分が技を独占すれば儲けられるとは考えなかったのですか?」


三郎は驚きおののいて言った。


「めっそうもございません。鍛冶屋の仲間たちが苦しむことのないように願うばかりでございます。」


しかし、三郎はもう一つの疑問を口にした。


「ですが、それでも伝統的な鍛冶屋の技術が失われてしまうのではないでしょうか…。それがどうしても心に引っかかるのです。」


お坊さまは優しく微笑みながら答えた。


「三郎さん、日本の刀とその伝統的な製法は、決して廃れることはありません。むしろ、刀はただの戦いの道具としての因縁を脱ぎ捨て解脱します。」


「解脱!刀がでございますか?」


「日本の刀は、武士の高潔な精神を伝えるものとして、また美しい工芸品として、何百年も生き続けます。」


「なんと。刀が戦いの道具でなく、平和な世で美しさを評価されるようになるのでごさいますか。鍛冶屋としても、やりがいがあります。」


「そう、鍛冶屋の伝統的な技術はますます高く評価されることになります。むしろ、新しい技術が生まれることで、伝統的な技術の美しさがさらに際立つでしょう。」


三郎は驚きつつも、お坊さまの言葉に深くうなずいた。


「なるほど…。そうであれば、安心できます。お坊さま、本当にありがとうございます。」


三郎はこんどこそ、心の底から安心した。鍛冶屋がつぶれないうえに、世の中は平和になり、伝統的な刀と鍛冶屋の技が尊ばれる世の中になるのだ。こんな嬉しいことはない。


しかし、お坊さまはさらに話し続けた。


「三郎さん、せっかく安心したところ申し訳ないのですが、新たに仕事をお願いしたいのです。」


「何なりとお申し付けください、お坊さま。」


「砂金で、牛と馬を買って、ミツさんに世話をしてもらってください。牛糞と馬糞は決して雨に当たらぬようにして、寺の縁の下の土と混ぜ合わせ…」


「お待ちください、お坊さま!それは、あの薬品の製法では、ありませんか!」


「さすが三郎さんです。御存知でしたか。もちろん、あの薬品を戦いに使うのではありません。銀の精錬に使うのです。」


「銀の精錬にあの薬品が使えるのですか?戦いのためにしか使えないと思っておりました。」


お坊さまは三郎にその薬品の製法と使用法について詳しく教えた。技術チート系ライトノベルに良く出てくる、戦いにも欠かせないあの薬品である。

三郎は、お坊さまに頼んだ。


「お坊さま、この薬品を作っていることはミツさんには内密にしていただけないでしょうか?ミツさんは平和を愛する素晴らしい娘さんです。余計な心配をかけたくないのです。」


「三郎さん、それはいらぬ心配です。ミツさんはこの薬品のことは知りません。ただ肥やしを作っていると思うだけですよ。」


「そこをなんとか、お坊さま!」


「ははぁ。三郎さん、あなたは万が一にもミツさんに嫌われたくないのですね。わかりました。当面、ミツさんには肥やしを作ると言っておきます。ただふたりの間に秘密は良くない。かえってミツさんに嫌われるかもしれません。いずれミツさんに話した方がいいですよ。」


「はい。銀の精錬のめどがたちましてから、必ずミツさんには打ち明けます。」


三郎は鋼鉄の心配がなくなったら、秘密の薬品の心配が増えてしまったと思いながらも、お坊さまに頼まれた重要な仕事にやる気が満ちてくるのを感じた。

その後、お坊さまは静かに部屋を後にし、ミツさんの部屋の方へ向かったようだった。三郎はその場にしばらく座ったまま、心の中でお坊さまに感謝の言葉を繰り返していたような気がしたが、いつのまにか眠りについていた。


鋼鉄の悩みが解決したと思ったら、技術チート系ライトノベルの常連のあの秘密の薬品を作るように頼まれてしまった三郎。

三郎はミツには秘密にしたいようですが、女の勘はするどいですからね。どうなるんでしょうか。

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