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第22夢 鉄鍋太陽炉で黒い石を溶かして鉛、亜鉛、銀、銅をとろうの夢

母親との悲しい別れから立ち直り、前向きに仕事に取り組む農家の三女ミツ。

世の中をかえる大実験の始まりです。

三郎とミツはお坊さまの教えに従い、鉄鍋を磨き始めた。初めは普通の砂、次に細かい砂、最後に木灰で三つの鉄鍋を丁寧に磨き上げると鏡のような輝きを放った。


「これで太陽の大日如来さまの神通力を集めるんですね。」


ミツが満足そうに笑うと、三郎も頷いた。


「そう。光を集めるほど高い熱が出るそうです。さあ、次は材料を準備しましょう。」



三郎はるつぼに寺の裏山で採れた黒い鉱石の粉を入れ、木炭と石灰を少量加えた。


「どうして木炭と石灰を入れるんですか?」

ミツが疑問を口にすると、三郎は手を動かしながら答えた。


「鉱石は金属のサビのようなものや、金属と硫黄がくっついたものでできているそうです。木炭がサビを金属に戻してくれるそうですよ。確かに鍛冶屋でも錆びた釘を炭火の中で熱して鉄に戻していました。」


「硫黄はどうするんですか?」


「硫黄は石灰が引きつけてくれるそうです。硫黄がそのまま燃えると体に悪い瘴気になるけど、硫黄が石灰と結びつくと安全な石膏になるとお坊さまはおっしゃっていましたよ。石膏は壁材料にも使えるそうです。」


ミツは感心して頷いた。


「なるほど。お坊さまは私たちの体も心配してくれているんですね。それで木炭と石灰を一緒に使うんですね。」


「そう。それに硫黄の瘴気は木を枯らしてしまう。鉱山の近くにはハゲ山が多いでしょう。

それにこの方法は木炭は燃料としては使わないので、木炭の量が少なくてすみます。ますます木を切る量が少なくてすみます。お坊さまは草や木も仏の心を持って生きているとおっしゃっていましたよ。」


「さすが、お坊さまですね。」


「さあ、鉄鍋を朝四つ巳の刻(午前10時)の太陽の方向に合わせて、待ちますよ。」


太陽が高く登ると、鍋がまばゆく光り、るつぼの中で化学反応が始まった。


「これから先はものすごい光が出るはずです。目を焼いてしまうとたいへんです。日除け眼鏡をかけてください。」


ふたりは木に小さな穴をあけて作った日除け眼鏡をかけた。


(注 この物語はフィクションです。太陽炉実験をする際には安全に注意してください。自作のサングラスは使用しないでください。作者からのお願いでした。)


「見て、溶け出した!」


ミツが声を上げると、三郎はうれしそうに笑いながら応えた。


「順番に溶けるんです。鉛の次は亜鉛、それから銀、そして最後に銅ですよ。」


「きれい。」


鉛が鈍く光り輝きながら、坩堝の底の穴から溶けて流れ出し、水を張った桶の中で固まっていく。


亜鉛は白っぽい。

銀は輝きがすごい。


「あんな黒い石からこんなにきれいな鉛や亜鉛や銀がとれるなんて不思議ですね。」

ミツがほんとうに不思議そうにつぶやく。


「最後は銅です。仏具や屋根の修理にも使えますね。」


るつぼから流れ出した金属が桶の中で固まり、鉛、亜鉛、銀、銅の順で積み重なって層を作っていた。


「さあ、次は砂鉄から鉄をとりますよ。」


「鉄といえば、鍛冶屋の三郎さまの大得意ですね。」


「いつもとやり方が違いますから、どうでしょう。うまくいくといいのですが。」


ふたりは次は砂鉄の準備を始めた。



太陽炉は手軽に高熱を発生できる装置です。

それだけに実験は安全に気をつけて行ってください。

花巻の西側では鉛、亜鉛、銀、銅を含む黒鉱という鉱石がとれます。

ただし、実際には鉛合金を生じる問題があるのでこんなにきれいに鉛、亜鉛、銀、銅には別れません。

そのあたりはあとで、ラノベ、なろう作品によく出てくるあの薬品で解決したいと思います。

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