第17夢 砂金がもたらす幸せ、花巻城下一日市場で楽しむ買い物の夢
夢に従って砂金を見つけたミツと三郎のふたり。
花巻の城下町で毎月開かれる市場に向かいます。
砂金でうまくお買い物ができるでしょうか。
砂金を集め終えた三郎とミツは、花巻の城下町へ向かった。市場は人々で賑わい、様々な商人たちの声が飛び交っている。ミツはその活気に目を輝かせながら、辺りを見回した。
「こんなに賑やかな市場は久しぶりです。」
「そうですね。景気が良さそうですね。これならお寺に必要なものもそろいそうです。そうそう、砂金は細かい買い物には使いにくいのでまず米を買いましょう。」
二人はまず米屋に向かい、砂金で米を買うことにした。
米屋の店先には、山のように積まれた米俵や米袋が並んでいた。三郎が砂金を取り出して見せると、店主は目を細めて微笑んだ。
「砂金で支払いかい?最近増えてきたねえ、そういうお客さん。大きな声じゃ言えないが徳川様のお金の質が落ちてるから、砂金は助かるよ。」
「そんなに増えているんですか?」
と三郎が尋ねると、店主は頷きながら答えた。
「ああ、ここ数か月で砂金を使う客が急に増えたんだ。夢で見たとか言ってたな。あちこちに砂金が採れる沢があるらしいんだが、場所を聞くのは野暮さ。とにかくありがたい話だ。」
「それは良かったです。これで米を分けていただけますか?」
三郎が尋ねると、店主はにこりと笑って頷き、袋を用意し始めた。
「もちろんさ。ただ、この砂金なら相当な量の米が買えるよ。若旦那と若奥さんのふたりではとても持てないよ。」
「若奥さんだなんて…」ひとり照れるミツ。
三郎は少し考えて、店主に尋ねた。
「お米は持てる分だけ持って帰ります。あと少し銭でお釣りをもらえますか?そして、残りのお米は後日お寺に届けてもらうことはできますか?」
「任せときな!牛で運んでやるよ。お坊さまのところなら、明日の昼には届けられるだろう。そうだ、量も多いし手形を書いとくよ。」
米屋は木版印刷済みの紙にさらさらと何か書き始めた。
「この手形と米を引き換えだ。」
「手形ですか。便利なものですね。」
「ああ、最近の流行りさ。米は玄米でいいかな。いくらかは白米にするかい?」
「玄米でお願いします。」
「玄米でお願いします。」
ふたりはなぜか声をそろえて答えてしまった。
「おお、気のあった夫婦だね、こりゃ」
商人とミツと三郎は笑いあった。
笑い声を聞きつけたのか、周囲の商人たちも興味津々で話しかけてきた。
「最近砂金を持ち込む人が多いが、これほど大粒の砂金はなかなか見ないな。」
「お役所に届けたほうがいいんじゃないか。」
「役所なんかに届けたら沢ごととられちまうよ。秘密にしといたほうがいい。」
「あちこちで金山が見つかって役所は大忙しだ。少しくらいの砂金は見のがすさ。」
「また砂金が採れたら、ぜひうちの店にも寄ってくれよ!」
次々に寄せられる声に、三郎も苦笑しながら礼を述べた。
「ありがとうございます。また機会があれば、ぜひお願いしたいと思います。」
ふたりは市場を回って味噌、塩、漬物など寺に必要なものを銭で買った。ふたりでする買い物はとても楽しく、あっというまに時間がたった。
ふたりは手持ちの米袋や味噌などを担いで市場を出た。
ミツが感慨深そうに呟いた。
「こんなにたくさんのお米が買えるなんて…!」
三郎も満足そうに頷いた。
「一年以上暮らせそうですね。」
「ふふっ、お金持ちになりすぎて、お坊さまに驚かれちゃうかもしれません。」
冗談めかしてミツが言うと、三郎も笑いながら相槌を打った。
買い物を終えた二人は、日の傾きはじめた街道を歩いた。
活気あふれる市場を後にしながら、ふたりの心には確かな未来への希望が宿っていた。
思ったよりたくさんのお米が買えました。
どうもふたり以外にも砂金の夢を見た人々がいるようです。




