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第16夢 砂金のきらめく沢で始まるふたりの夢

夢のお告げで砂金の採れる沢を知ったふたり。

三郎は夢で見た沢が本当にあったことに驚く。

沢にたどり着いたふたり。登っているうちは遠く感じたが、着いてみれば寺を出てから半時も経っておらず、寺もよく見渡せる、意外に近い場所だった。


「ここですね…お坊さまがおっしゃっていた場所。」

ミツが膝をつき、沢に手を浸す。冷たく澄んだ水が手のひらを流れる感触に、彼女は小さく感嘆の声を上げた。


三郎の脳裏に、夢で見た不思議な光景がよみがえる。蓮の花の形をした金属の建物が輝き、水車が回っていたあの場所。間違いない。ここだ。ここが夢で見た場所だ。オランダの技術なのか、仏の導きなのか、何か新しいことを私はここで始めて、この村を、この国を、変えるということなのか。


「本当にきれいなところですね。」

ミツが感慨深そうに言うと、三郎はその声で我に返り、にこりと笑いながら背負っていた荷物を地面に下ろした。


「お坊さまの話を聞いて、ここに来てみようと思ったときは正直半信半疑でしたが…こうして見ると、本当に期待が持てそうです。」


三郎がそう言いながら小さなお盆を取り出すと、ミツは興味津々な様子で覗き込んだ。


「これで砂金を採るんですね?」

「ええ。」


三郎は川底の砂をすくい上げ、水を揺らして余分な砂を流していく。ミツはじっとその様子を見守っていたが、やがて三郎の手が止まり、お盆の中を覗き込む。


「…見てください、ありましたよ!」

三郎が声を弾ませると、ミツも思わずその中を覗き込み、目を丸くした。


「これが…砂金なんですね!」

ミツの声は驚きと喜びで弾んでいる。


「はい。お坊さまの話、本当でしたね。」

三郎も笑顔で答えた。


それからふたりは夢中で砂金を探し始めた。砂をすくっては水を揺らし、小さな粒が光るたびに歓声を上げた。


「三郎さま、もう一つ見つけました!」

「本当ですか?ミツさん、飲み込みが早いですね。」


三郎が褒めると、ミツは嬉しそうに笑いながら砂金を見せた。


「ありがとうございます。でも、こんなにたくさん採れるとは思いませんでした。」


「確かに。何日探しても砂金がみつからなかったという話も聞いたことがありますよ。お坊さまが教えてくださらなかったら、こんな場所は見つけられませんでしたね。」


ふたりは楽しく砂金採りを続けた。次々と砂金がみつかるので休むひまもないほどだ。


ミツが少し疲れて腰を伸ばすと眺めの良い景色のなかに、花巻のお城が見えた。

ミツがふと思いついたように口を開いた。


「三郎さま、今日は一日ですよね。花巻の御城下で市場が立つ日ですよ。」


三郎もそれを聞いて思い出した。

「そうか、ミツさん。それなら市場で砂金を売って、米や味噌など、お寺に必要なものを買いましょう。ただ、お坊さまに砂金をお見せして、お許しを得てから買い物するのが筋かもしれませんが…。いや、次の市場の開く日まで待つよりも、お坊さまも喜ぶでしょう。」


ミツの顔がぱっと明るくなり、すぐに立ち上がった。


「お買い物!いいですね。三郎さま、急いでいきましょう!市場が閉まったら大変です。アッ!」


ミツは慌てて立ち上がった拍子に、砂金採りのお盆を川に落としてしまった。

三郎は素早くミツのお盆を拾いあげて、自分のお盆と重ねると、ミツの慌てた様子に苦笑しながら、手早く荷物をまとめた。


「ははは、ミツさん。まだ日が高いですよ。そんなに慌てて足を滑らせないでくださいね。」


ミツは恥ずかしそうに笑いながら答えた。

「はーい。ふふふ。」


「ははははは。」


ふたりの笑い声が美しい沢に響き渡る。日差しが水面に反射し、ふたりの顔を明るく照らしていた。


次回は楽しいお買い物タイム、となるのでしょうか?

砂金を市場で売って大丈夫?

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