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第12夢 農民の三女ミツ握り飯を持ち外れ寺に向かう夢

草刈りの翌日、農家の三女ミツは、お坊さまとの約束どおり握り飯を寺に届けようとしますが、母親と口論になります。

農民の三女ミツは、竹の皮に握り飯を包みながら深いため息をついた。

昨日、外れ寺のお坊様のありがたいお話を聞き、今日の昼に握り飯を持ってくると約束していた。だが、母はそれを許してくれなかったのだ。


「おミツ、お前は昨日、寺なんか行ってない。河原で草を刈ってただけだ。」

母は何度もそう言い張る。だが、ミツは確かに寺に行き、お坊様の声を聞いた記憶がある。


「本当だよ! お坊様は『人にはみんな役割がある』って言ってくれたんだ!」

必死に訴えるミツに、母は首を横に振るばかりだった。


「そんなことより、お前は三女なんだから家の仕事をちゃんとやりなさい。嫁にも行けないんだから、せめて家の役に立つしかないだろう。」


母の冷たい言葉に、ミツはぐっと歯を食いしばった。

母はいつもこんなふうに、自分を見下しているように感じる。一番上の姉は婿をもらう話が、二番目の姉は嫁入りの話が持ち上がっている。けれど、自分は…。

ウチは裕福な農家ではない。三女の自分は一生家で下働きだと決めつけられているのだろう。そういえば父の妹だったおばも三女だった。狭い屋根裏部屋に住み、働き続け、結婚もできずたいして年もとらないうちに腰が曲がりシワだらけになって亡くなっていった。


「でも、お坊様とのお約束を破ったら仏罰が当たるよ! 私だけじゃない。母さんだって罰を受けるかもしれないんだから!」


真剣な目で訴えるミツに、母は少しだけ表情を曇らせた。「仏罰」という言葉が心に引っかかったのだろう。


「仏罰だなんて、そんな…」

母は一瞬ためらったが、やがて小さくため息をつくと、折れるように言った。


「仕方ないね。行っておいで。でも、早く帰るんだよ。大事な仕事が山ほどあるんだから。」


許しを得られたミツは、内心ほっと胸をなでおろした。けれど、母の冷たい言葉に少しだけ胸が痛んだ。

「大事な仕事が山ほどある」なんてウソだ。

姉たちには手取り足取り「大事な仕事」を教えるくせに、自分にはどうでもいい雑用や男のような力仕事ばかりを押しつけるのに。


握り飯を竹の皮に包み直し、ミツは急いで寺への道を歩き出した。


道は静かで、初夏の風が頬をなでる。心地よい風に吹かれながらも、ミツの心には不安がよぎる。

「麦まじりの握り飯なんかで、お坊様が喜んでくれるかな…」

けれど、昨日のお坊様の言葉を思い出すと、不思議と勇気が湧いてきた。


「人にはそれぞれの役割があるって言ってくれたもん。私だって、何か役に立てることがあるはずだ。」


足元の草花が風に揺れ、青空には鳥の声が響いている。お坊様が住む外れ寺は、もうすぐそこだ。


まだミツは知らない。

その外れ寺には、彼女の人生と世界を変える出会いが待っていることを。


農家の三女ミツと鍛冶屋の三男三郎はうまく出会えるでしょうか?

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