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第11話 鍛冶屋三郎外れ寺の夢

鍛冶屋の三男、三郎は外れ寺で未来の夢を見ます。

農家の三女ミツがひとりで河原で草を刈って、外れ寺に行く夢を見ていたころ、鍛冶屋の三男三郎は、朝早くから灼熱地獄のような鍛冶場で働き詰めだった。


午前の仕事を終え、昼下がりに少しの休憩を取ると、彼は村はずれの寺へ向かった。兄は口うるさく寺に行くくらいなら仕事をしろ、と言ったが、俺はもう仕事は十分したのだ。かまってはいられない。

それよりも、先日、村の噂で聞いた新しいお坊さまが気になっていたのだ。お坊さまは長崎にいた経験があり、異国の技術や文化にも通じているらしい。


三郎は、お坊さまが信頼のおける人物だったら父親が蔵に残したオランダの技術書の話をしようと思った。

亡くなった父親が藩の役人と長崎に行き秘密に手に入れたものと聞いていた。

この本の知識を確かな人物と共有したい、そしてその知識を自分の鍛冶仕事に役立てたいという思いがあった。


寺に到着すると、お坊さまは留守のようだった。玄関に腰掛けながら、三郎はお坊さまを待つことにした。爽やかな風と早朝の疲れに誘われ、彼はついうとうとと居眠りしてしまった。


その間、集合的無意識の空間では、ミヤザワケンジ2.0が彼の夢に干渉していた。


夢の中、三郎は不思議な光景に立っていた。広大な沢の中で輝く砂金がきらめき、その先には技術者たちが鍛冶場で作業をしている姿が見えた。蓮の花のような不思議な金属の建物があり、光輝いていた。沢にはたくさんの水車が回っていた。その中心には、父親のような面影を持つ人物が立っていた。その人物が三郎に向かって話しかけてきた。


「三郎、お前はこの村に、この国に新しい風を吹き込む力を持っている。だが、それには知識と仲間が必要だ。」


三郎はその声に圧倒されながらもうなずいた。そのとき、景色が一変し、寺の玄関に戻ったような感覚になった。


三郎が目を覚ましたような気になると、お坊さまが目の前に立っていた。穏やかな笑みを浮かべたその姿は、三郎にとってどこか懐かしい印象を与えた。


「よく眠れましたか?」


お坊さまは冗談交じりにそう言うと、三郎を寺の中へ招き入れた。


住職の話はとても興味深く、異国の技術の知識も豊富で、三郎は舌を巻いた。


三郎は思いきってオランダの技術書の話ををし、鍛冶の仕事に活かしたいことを住職に伝えた。


お坊さまは、強い関心を示し、三郎に僧侶とは思えない技術的な助言をした。

そして頼もしい声で言った。

「素晴らしい志です。鍛冶は、この村、いやこの国にとって大切な技術ですし、それをさらに高めることは未来への貢献になります。仏様も見守ってくださいます。近いうちにあなたの夢に仏様が現れるでしょう。そのお告げに従うといい。仏様は異国のことまでお見通しですからね。」


そしてお坊さまは、さらに言った。

「私の夢にも仏様が現れました。このすぐ近くの沢で砂金が採れると仏様はおっしゃいました。近いうちに確かめてみるといいと思います。君の仕事の資金になるでしょう。」


「砂金ですか!それはすごい。」三郎は驚いた。


お坊さまは続けた。

「それにもう一つ、明日、農民の娘のミツさんが握り飯を持ってきてくれるそうだ。ところが私は急な用事ができて出かけなければならない。その握り飯は君とミツさんで分けて食べてください。」


「ミツさん、ですか。」三郎はどこかで聞いた名だと思い、お坊さまの言葉を不思議に思いながらも、お坊さまの導きに従うべきだと感じた。


いつの間にか三郎はまた居眠りしたようだった。思わず「居眠りして申し訳ありません」と叫びながら起きた。


お坊さまはもういなかった。三郎は思った。夢は見たが、お坊さまと会ったのは現実だよな。どこまでが夢でどこまでが現実だったんだ?


寺を後にした三郎は、心の中に小さな決意を抱いた。自分の仕事に新しい知識を取り入れ、この村に、この国に、役立つ存在になる。そのためには、お坊さまの言うとおり、多くの人々と協力し、新たな関係を築いていく必要があると感じたのだ。

まずはお坊さまが教えてくれたミツさんという娘さんに明日寺で会ってみよう。



鍛冶屋の三男、三郎と、農家の三女、ミツ。

二人は複雑な家庭環境に縛られています。

二人はうまく出会えるのでしょうか。

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