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第53話:「竜狩りの…」

前回のあらすじ、きつぅーい修行パートがようやく終了だ。

時刻は9時ぐらいだろうか。疲れ果てた身体を地面に投げ出して、しばらく腕を枕替わりにして休んでいた。

少し冷たい風が、汗を掻いた頬を撫ぜる。穏やかに流れていく時間の中で、1つ疑問に思ったことを聞いてみる。


「なぁ、師匠ってAランクなんだろ?いつもはどんな依頼やってるんだ?」


「ん?あぁ、そうだな。まァ色々あるんだが…」


こうやってこの時間にローズと雑談をするのも、今や日課となっている。

ローズとのコミュニケーションという意味の他に、この世界のことを知ることが出来るという、俺にとっては大変有意義な時間だ。


「Aランクになった冒険者ってのは2種類居るんだよ。」


「俺か、俺以外か?」


「はァ?」


「いや、うん、俺が悪かった。だからその本気で理解不能みたいな顔をやめろ。」


咳払いをして、ローズは再び喋りだした。


「…Aランクの依頼を受ける少数のオレみたいな奴と、大多数の変わらずBランク以下の依頼を受け続ける奴だ。」


当然、疑問に思った。


「なんで全員Aランクの依頼を受けないんだ?」


ローズの俺を見る目が多少回復したような気がした。


「そりゃな、Aランクの依頼は危険度が高いからだ。異常に、特殊依頼とも言われる程にな。」


「でも、その分報酬は高い、とかだよな?」


そうじゃないと受ける意味がない。


「だいたいそんな感じだ。Aランク依頼なんて、数ヶ月に1度達成するだけで暮らしに困ることが無くなる。」


なるほどな、道理で暇そうな訳だ。


「まァそもそも、そこまで危険度の高い事案なんてそうそう無ぇ。だからオレも、ちょくちょく普通の依頼をこなしたりしてんだ。」


他にも、Aランクの冒険者が必要なほどの事態になってしまった街や村に要請されて出向くこともあるのだとか。


ここまで言われたら、当然興味が湧いてくる物だ。そう、彼女が如何に危険な依頼をこなして来たのかを。


「で、その危険なAランクの依頼で、アンタはどんな強大な敵を倒してきたんだ?」


そう問うと、彼女は少し悩むような素振りをした後、


「教えるのはいいんだが..そうだな、少しプライベートなことだから、お前にも喋って欲しいことがある。」


そう言った。

なるほど、交換条件ということか。


「…何が知りたい。」


唾を呑み込んで、慎重に聞き返す。























「お前は、この先どうなりたい。」


珍しく真剣な声音。しかし答えられないものでは無い。と言うか、拍子抜けだ。てっきり異世界人だとバレたかとすら疑った。


「なんだよ、そんなことか。終わったら教えてやるから、先にアンタが喋れよな。」


俺の夢など、大したことのないどうでもいい情報だ。


「そうか、なら契約成立だ。教えてやる。」


ニヤリと口元を歪ませて語り始める。


「オレはAランク依頼では、ある魔物を専門で狩らせて貰っている。」


息を飲んだ。

彼女はもったいぶって大きく間を開けた後








(ドラゴン)だ。」


そう一言呟いた。


「ドラゴン..(ドラゴン)!?翼が生えてて、火を吹くあの(ドラゴン)なのか?」


「そう、そのドラゴンだ!これでもこの国じゃちょっとした有名人なんだぜ?『竜狩りの薔薇姫(ドラゴンスレイヤー)』ってなァ!」


姫ってのはちょっと恥ずかしいけどな。と付け足し頬を染めるローズ。演技力は一流だな。


「..そうだったのか。」


よし、理解した。


「どうだ?驚いたか?」


何を理解したかって?


「ああ、ビックリさせられたよ。」


そうだ、俺はビックリした。気づいてしまったからだ。

コイツが真面目に話す気がねぇことになぁ!

何が『竜狩りの薔薇姫(ドラゴンスレイヤー)』だよお前のセンス中学生以下か!

大方自分が大多数の方に所属していることを言うのが恥ずかしくて与太話(よたばなし)しやがったな。


「よし、じゃあ今度はお前の番だ。お前は何になりてぇんだ?」


そして彼女は、悪びれもせずこちらに約束を果たすことを望んできた。


「んーそうだなぁ。」


ならばこちらは、世迷言で返させてもらおう。


「師匠、俺はな…正義のヒーローになりたいんだ。」

にしても薔薇姫って、なぁ?

どっちかと言えばハエトリグサとかそういう…

おっと殺気が。

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