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第48話:「奇しくも同じ…」

前回のあらすじ、もう魔物退治はこりごりだぁ〜!エンド。

何とかオオカミの群れから逃げ切った俺は、ひとまずギルドに戻って依頼達成の報告をする。ローズはなんか用事があるとかで別れた。


「依頼達成お疲れ様でした。こちらが報酬の15000Gになります。」


ゴブリン3匹の討伐依頼の報酬は、日本円換算でたったの5000円。俺はそれを3つ分こなしたということだ。

命を掛けているにしては安すぎる。そう考えるあたり、俺はまだこの世界の命の重さに順応はしていないのだろう。


「あ、ありがとうございます。」


差し出された報酬を受け取りつつ、俯きながらボソボソと礼を言う。

まあ、まだランクEだから報酬が低いというところもある。てかそれがメインだよ、うん。そう思わないとやってられない。


「あの、差し出がましいようですが…あまりご無理はなさらないでくださいね。」


掛けられた声にふと視線を上げると、心配そうな顔をした受付のお姉さんと目が合った。


「…はい?」


「いえ、その…ここの所、ずっと思い詰めたような顔をなされていましたので…すみません。私が気にするべきことではありませんでしたね。」


そう言って深々と頭を下げるお姉さん。…って


「いやいや、頭を下げないでくださいよ。」


慌ててお姉さんを制止する。

確かにマニュアル対応マンの日本人としては彼女の行動は苦い顔をする他ない。だが彼女の今の行動こそが、その思いやりこそが、人をより良い明日に導くものだ。と俺は考える。

ならばその高潔な精神に、決して仇をなすようなことはしたくない。


「つい最近、面倒なことが立て続けに起こったもので。」


「は、はい。」


俺が急に饒舌になったので、お姉さんは少し面食らっていた。


「なのでそれについて考えていたんです。ただそれだけですよ。」


あと、謝らないでください。と付け加える。


「そう、ですか。ありがとうございます。」


怒涛のフォローに、お姉さんは途切れ途切れで礼を述べる。

しかし、そんなに心配される程の表情をしていたのか…明日は家でゆっくりリラックスでもしてみるか?


「あの、本当に大丈夫なんですか?」


お姉さんは、まだ心配そうな表情のままだ。人が良すぎてちょっと苦笑する。


「大丈夫ですから。俺みたいなのをいちいち心配しない方がいいですよ。」


そう言って後ろ手に手を振ってカウンターを去る。


「ううん。ルークはもうちょっと周りにどう見られてるか考えるべきだよ。」


正確には、去ろうとした。だが振り向いたところでそいつとぶつかりそうになって止まる。

顔を上げると、そこには銀髪蒼眼の美少女が少しむくれた顔で立っていた。怒った顔も可愛いですね。


「うぉっと、どうした?」


「どうしたもこうしたもないよ。戻ってからずっと心配してたんだよ?」


ふわふわした綿菓子のような声で責め立てられるが、正直怒られている感覚は全くしない。


「えっと、ありがとう?」


「ありがとうじゃないよ!何も言わずに家を出たかと思えば、夕方くらいに帰ってきて、お金だけ置いてくんだからぁー!」


ぷんすかぷん!という擬音さえ聞こえてくる。

確かに詳細を話していなかったし、心配を掛けてしまったか。


「悪い。わざわざ説明するほどのことでもないかと思っていたんだが…これからは気をつけるよ。」


今にも蒸気でも噴き出しそうなワイスをなんとか宥める。


「まあいいや、お説教は家でします。」


襟首を掴まれてひこずられていく俺。一体なんの説教をされるのだろうか。


「あ、メリッサさん。心配しなくても大丈夫ですよ!ルークはウチでしっかり言っとくんでー!」


「えっと、よろしくお願いします?」


疑問形で返事をする受付のお姉さん。メリッサさんって言うのか。


「ぐえー。」


ズルズルとキャリーケースのように引きずられてギルドの出口へ向かっていく。

そのままあえなく退場かと思われたその時、外側からドアが開かれた。現れたのは、まあ特に意外と言うほどではない人物。


「お、勢揃いじゃねぇか…何やってんだお前?」


外套を纏っている癖に派手な女、ローズだった。

理解不能な物を見るような目をされたが、そんな目で見られる謂れはないと思った。どうしてかって?

彼女が1人ではなかったから。否、正確にはもう1人を『持って』来ていたからだ。

そう、その手には襟首が握られていた。その襟首の主と目が合う。

黒髪黒目、特に目立った特徴がある訳ではないが、全体的に整ったイケメン。ブラスト。

奇しくも同じ構え(キャリーケース)だった…

2人の思考がシンクロする。

((どうしてこうなった…?))

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