第39話:「せっかくだから」
前回のあらすじ、悪夢を見てだいぶ情けない感じになった。
目を覚ますと、真っ赤な瞳と目が合った。最初の頃は驚いた物だが、もう慣れてしまった。
「あ、おはようございます。」
「おはよう。よく飽きもせず毎日見れるな。」
適当に返事をしてイミテを押し退ける。今日はロノミーを倒した日の翌日。昨日の夜悪夢に魘されて起きた俺だが、疲れもあって、状況を説明してもらった後はすぐ寝てしまった訳だ。
時計は午前10時くらいを指していた。
「ルークさんの寝顔は可愛いので、飽きる日なんて来ませんよ。」
ロノミーとの戦いのあと、俺が気絶してすぐにワイスとヴァランが帰ってきたらしい。ロノミーを殺してしまったことについては、ロノミーが罪を犯していた証拠である地下室の存在から不問となったそうだ。
「それ、男の子からしたら褒め言葉じゃないからな。」
にしても、ギルド長が地下室の存在知らないってどうなってんだよ。この世界の法がどんなのかは知らないが、責任を追求するべきなんじゃないのか?
「…腹減ってるし飯食ってくるわ。」
そう言って食堂に向かう。今日は昨日のことへの対応で忙しくなりそうだ。帰路につけるのは明日からかなぁ。あ、筋肉痛超痛てぇ。
「ご一緒します。実はわたしもまだ食べてないので。」
おいおい、俺はついさっき起きたから仕方ないが、もう10時だぞ。
「お前、まさかずっと見てたのか?」
「昨晩の熱い抱擁が忘れられなくて…ポッ。」
頬を手で両手で抑えながらそう言うイミテ。自分でポッて言うなよ。
「お前、そんなキャラだったっけ?」
まぁ、今までは連れ去ろうとした犯人が見つかってなかった訳だし、緊張の糸が解けたのかもしれないな。
「貴方がこんなふうにしたんじゃないですか、もぅ。」
訂正。ちょっと緩みすぎている。男女平等チョップ。
「あいてっ」
「やめろ、ロリコンだと思われるだろ。」
ほら見ろ、既に食堂中の視線を独り占めだ。イミテのことは大事な仲間だと思っているが、そう言った邪な感情は持っていないのだ。
「ろり、こん?どういう意味でしょう。」
「え?あぁ…要するに、あんまり人を揶揄うなってことだ。」
スゲー。なんというか、異世界っぽい会話だぁ…
「仕方ないですねー。昨日の活躍に免じて、今日は勘弁してあげます。」
「これからも是非そうしてくれると助かる。」
会った時はあんなに素直な子だったのに、今ではすっかりマセガキになってしまった。と後方腕組保護者面してしまう。まぁ実際保護者なんですよね。信じられないけど。
「ああそれと、今回の事件についてはワイスさんが対応してくれるらしいので、私達は特にやることないみたいです。」
「なんでそう言う大事な情報をしれっと出すのか、コレガワカラナイ。」
なるほどね、もう既にワイスが行ってくれてるのね。それなら俺が10時までのんびり寝てられたのも納得だね。
「よかったですねルークさん。今日はゆっくりできますよ。」
ふーん。どうやらワイスは俺達に気を使ってくれたらしい。今日は筋トレもサボって1日中寝てよっかなァ〜…
「どうします?せっかくカエイに来たことですし、出かけたりとかしますか?」
出か…ける…?そうか、普通の人は休日は外に遊びに行くものか。なんとなく、イミテも顔にこそ出さないが、少しソワソワしているように見える。
「そうだなぁ…せっかくだから、ちょっと街でもブラついてみる。イミテも着いてくるか?」
「着いて行きます。」
うん。冷静っぽく答えてるけどだいぶ食い気味だったね。全く素直じゃないヤツめ。出かけたいのならそう言えばいいのに。
「そんなに花が気になるのか?」
「え?…まぁ、それもありますけど、街を探索できるのがとっても楽しみです!」
すごく嬉しそうに答えるイミテ。可愛い。この笑顔のためなら、俺は筋肉痛も我慢できる。
「にしても、そんなに街が気になるなら、1人で遊びに行っても良かったんじゃないか?」
「…それ、本気で言ってるんですか?」
俺、なんかおかしいこと言ったらしい。




