表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/61

第31話:「暗闇」

前回のあらすじ、隠し通路を発見した。

無言で階段を降りていく。ヒリついた空気が肌を撫でる。明かりは壁に付いている燭台だけで、足元がおぼつかない。

俺たち以外に人は居ない筈なのに、階段の先の暗闇は不気味な緊張感を放っていた。

次第に暗闇からは、鉄の錆びたような匂いが漂い始め、温度も暗室のヒヤリとした物から、生物の肌のような生ぬるいそれへと変わっていく。

階段を降りきると、そこは地下室になっていた。しかし、やはり照明は燭台だけで、部屋の中央に置いてあるそれの周りだけが、ぼんやりと照らし出されていた。


「イミテ、武器を構えておいてくれ。俺が燭台を持った方がいいだろう。」


背後で頷く気配を感じ、部屋の中央へと歩みを進めていく。入口から部屋の奥に進むにつれて、どんどん臭いが強くなる。

燭台を手にして、部屋内の探索を始める。壁と床には赤黒い染みがこびりついていて、錆びた鉄のような匂いはそこからしているようだった。まぁ、何となくわかっていたが、


「間違いない、血だ。」


しかも、とてつもない量。飛び散った血飛沫は、室内の殆どの壁と床を塗りつぶしていた。そして部屋の奥の方には、


「手術台…か?いや、」


拷問用のようにも見える、石のベッドがあった。四隅には鎖で繋がれた枷が付いており、ここに寝かせた人間を拘束するようにできている。血飛沫の中心も、どうやらここのようだ。犯人はここで殺人、死体の解体をしていたのだろう。


「でも、なんのために…?」


そこまで思考したところで、小声でイミテに声をかけられる。


「ルークさん、誰か来ます!」

───────────────────────────

「探偵ごっこはシナリオ通りやってくれないと困るんだよねぇ。」


現れたのは、ロノミー。昨日の善人ぶった笑顔のまま、けれど言葉の端に僅かに苛立ちを滲ませながらそう言った。


「シナリオって、どういう意味ですか。」


イミテが追求する。まぁコイツは副長だし、単純なシナリオだろう。


「簡単なことさ。ヴァランが君たちに捕まれば、僕がギルド長になれるだろう?そうすれば、もっと自由に動けると思ってね。君たちを利用させてもらったんだ。」


まぁ、その結果がコレなんだけど。と付け足すロノミー。


「あの書類を見つける前にこっちを見つけるなんて、運がないねぇ。」


あの書類?なんのことだ。部屋の書類には全部目を通したはずだが。そもそも書類の量が少なくて、見落とすも何も無いような状態だったし…


「まぁ、どうでもいいや。今から君たちは死ぬんだからねぇ。」


そう言うと、ロノミーは上着を脱ぎ捨ててこちらに近づいてきた。

───────────────────────────

向こうは素手、こちらには武器がある。しかも2対1の状況。普通に考えれば負けることは無い筈だが、ロノミーは妙に余裕のある態度だ。何か策があるに違いない、油断せず行こう。


「イミテ、アイツを拘束してくれ。逮捕して罪を償わせるためにも、殺すのはナシだ。」


殺さないように一応釘をさしておく。さっきからイミテの放つ殺気が半端じゃない。


「わかってますよ…」


そう言ってロノミーに目にも止まらぬ速さで突っ込んでいく。イミテの身体能力なら、並の人間なら太刀打ち出来ない筈だ。


「速いッ…!」


ロノミーはそう言いながらも迎撃体制を取る。とんでもない動体視力だ。首狙いで飛んでくる鎖を躱し、その隙にイミテに接近して顔面に正拳突きを放った。


「…ッ!?」


イミテはかろうじて身を捻って躱し、その伸びた腕に鎖を巻き付ける。


「化け物ですか、貴方。」


「君にだけは言われたくないねぇ。」


俺は完全にヤムチャ状態だ。しかし、イミテはしっかりとロノミーの腕を拘束している。この状態ならば、いくら動体視力が鋭くても勝てないだろう。


「降参してください。貴方に勝ち目はありません。大人しくしてくれれば、半殺しで済ませてあげます。」


ちょっと物騒な感じでロノミーに降参を促すイミテ。しかしロノミーはクスリと笑い、


「勝ち目が無いのは、君たちの方なんだよねぇ!」


そう言うと、鎖ごと腕を振り払う。力任せに鎖を振りほどかれ、イミテは慌てて距離をとる。


「第2ラウンドの、始まりだねぇ。」

しかし、ロノミーのあの口ぶり。単純にギルド長になりたいだけではないようだな…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ