第29話:「いい感じ」
前回のあらすじ、マンガ肉がうまい。
「すまないが、今はギルド長との面会は出来ない。なんでも最近忙しいらしくてな。用があるなら、1ヶ月後くらいに来るか、まぁせめて、来る前に連絡してくれ。」
警備員のギルメンらしき人に、すごい正論で追い返された。1ヶ月も待つ訳にはいかないし、逮捕状みたいなのもないし…
「さて、どうしたもんかなぁ。」
腕を組んで呟く。2階の珍味売り場は閑散としていて、スペースも小さく、1階から聞こえてくる喧騒とは対称的だった。
「警備の人眠らしちゃえば解決じゃない?」
「なるほどな、どうやって?」
「1…2の…ポカン!」
「アホか。せめて最終手段にしとけ。」
催眠の魔法とか無いんですかね…
「やっぱりダメかぁ。うーん、情報の方から歩いて来てくれないかなぁ。」
そんな都合よく来てくれたら苦労しないっつーの…
「失礼。盗み聞きするつもりは無かったんだけど、話が聞こえてしまってね。うちのギルド長に、何か用かい?」
来てくれましたね。胡散臭い糸目のおっさんだけど。
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「改めて、僕はロノミー。このギルドの副長をやってるんだけど、ヴァランになんの用かな。」
とりあえず1階に降りて、飲み物を飲みながら話をすることになった。
「最近、ヴァランさんに気になることとかありませんか?様子が変わったとか。些細なことでもいいんですけど…」
とりあえず、ヴァランだけがおかしいのか、ギルド全体で動いているのか、それだけでも掴めればいいのだが…
「そうだねぇ…何か変わったこと…そう言えば、2週間くらい前から急に忙しそうにしだしたね。部屋からもあんまり出てこなくなったし…でも、それが君たちになんの関係があるの?」
まぁ聞かれるか。ワイスの方を見ると。なんかこういい感じに誤魔化して、的なオーラを出してきた。雑やなあ。
「実は俺たちの街の方で行方不明者が出ていて、それにヴァランさんが関わっているかもしれないんです。」
ヨシ!嘘は言ってないな。
「なるほど、それは大変だねぇ…じゃあ、また明日ここに来て貰えるかな。ヴァランと話せるように都合をつけておくよ。」
この反応を見るに、恐らくはヴァランの単独行動だ。ギルド全体で動いていれば、ここで機会を設けてくれることは無いだろう。
「わかりました。ありがとうございます。」
これは、明日にでも決着が付けられるかもな。
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「しかし、思ってたよりもいい人でしたね。」
イミテが呟く。宿の部屋割だが、イミテがゴネて結局同じ部屋に泊まることになってしまった。
「誰が?」
今は、風呂上がりのイミテの髪を乾かしてやっている最中だ。いつもは自分でやっている癖に。今日はなんか特に甘えてくるな。
「あのロノミーって副長さんですよ。ヴァランの仲間なら、てっきりみんな敵だと思ってました。」
確かにロノミーは、俺たちにも丁寧に対応してくれていた。ヴァラン自身も、おおらかなおっさんと言った感じであからさまに悪人ではない。
「どうだろうなぁ、罠かもしれない。人は見かけによらないからな。」
「ふふ、ルークさんが言うと説得力が違いますね。」
「喧嘩売ってるのか?」
ああ、この笑顔を守るためにも、早くヴァランの正体を暴かなくちゃならないな。
ロノミーから聞いた話によると、ヴァランは一応ランクBの冒険者で、度々依頼をしに出向いていたそうなんだが、最近あからさまにその頻度と時間が増加しているらしい。これはもう確定でいいだろう。




