第26話:「ちょっと何言ってるか分からない」
前回のあらすじ、魔物の活性化の原因調査の依頼を受けた俺たちは、見事それらしき大穴を発見した。
その大穴は、スロープのように斜めに地下に伸びていて、その形状はとても自然にできたものとは思えない。穴の中に入る為の通路のようになっていた。
「《探知》に引っかかるだけでも、かなりの数の魔物が中にいるみたい。ここで間違いないね。」
つまり、ここを攻略すれば魔物の活動は沈静化するということか。
「OK、ならさっさと潰そうか。」
善は急げとも言う。何よりあそこからは、俺を呼んでいるような感覚がする。きっと俺じゃなきゃ攻略できない場所なんだ。
「いつになくやる気だねルーク。でも、私達に依頼されたのはここまでだよ。目的を見失っちゃいけません。」
大穴に近づこうとした時、ワイスに引き留められた。肩を掴まれて冷静になる。なんだか妙な使命感に駆られてしまっていた。
「悪い、少し先走った。依頼は達成した訳だから、帰ってギルドに報告する、でいいんだよな。」
地図に大穴の場所をマーキングし、元来た道を引き返す。
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ギルドの対応は「後日、B~Aランクの冒険者のパーティに、大穴の探索及び魔物活性化の原因への対処をさせる」だった。
自分で攻略できないことになんとも言えない焦燥感を感じたが、多分慣れない長時間の運動で気が変になっているだけだろう。
「なーに難しい顔してんの、ちゃんと味わって食べて。」
「あぁ、ごめん。ちょっと考え事してて。」
何か気になることがある時にすぐ考え込んでしまうのは、俺の悪い癖だ。飯の味がわからなくなるほどとは、気をつけないと。
「ほら、そんなんだから顔にケチャップついちゃってるよ?」
そう言ってワイスは俺の頬を拭った。…これは…ッ!!
「あ、赤くなったー。ルークでも照れるんだね。」
クソッ、ニヤニヤしやがってコイツめ。
「いや、そんなんじゃないから。そう、ハンバーグが致命的に美味くて血行が良くなってるだけだから。」
そう言いながらがむしゃらに飯をかき込むが、さっきとは違う理由で全く味を感じられない。
「ちょっ、からかってごめん。怒らないでゆっくり食べて。ほら、ご飯おいしい?」
なんだよ、今更謝ったって遅いんだぞ!怒ってないけど!
「うん、おいしい!」
気取られないようにあえて強く言い放つ。フハハ、これで勝負は引き分けだな(?)!そんな理論武装で大丈夫か?大丈夫だ、問題ない。
「前々から思ってたんですけど、お2人って仲良いですよね。同棲もしてるし、付き合ってるんですか?」
その発言は問題大ありだぞイミテ。思わずギャグ時空に片足を突っ込み、盛大に茶を吹き出す。
「いや、そういうのじゃないから、見てわかんないか?」
「むしろそれで付き合ってないとか、ちょっと何言ってるか分からないですね。」
なんだコイツ、煽り力が高い。
「あのな、俺たちまだ出会って1週間だぞ。そんなんで付き合うわけないだろ。」
「1週間で始まる恋愛があっても、私はいいと思う!」
なんでお前はそっち側なんだよ!助けてくれよ!
「ルークさん。どっち付かずの対応は1番失礼ですよ。覚悟を決めてください。」
正論だけど、この場においては俺はハッキリした態度を取ってるだろ!
「だから付き合ってないって言ってるだろ!?」
「ひどい!私とは遊びだったのね!」
コイツはただ楽しんでるだけだな!後で覚えとけよマジで!
そうして事態が混迷を極めようとしていた時、インターホンが鳴った。
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そして、家にやってきたブラストは、やはり真剣な顔で話し出す。
「イミテを誘拐しようとしたゴロツキ共の雇い主が判明した。珍味を探し求める組合『食み出し者』のリーダー。ヴァランだ。」
イミテには、後でしっかりと頭を撫でながら詳しい事情を説明してあげた。やはりなでなでに弱く、すんなり俺の話を聞いてくれた。




