第22話:「問題ない」
前回のあらすじ、選ばれたのは、能無しでした。
「あ、私ちょっとイミテちゃんに話があるから、ルーク先お風呂入ってきて。」
「はいよ。」
随分と馴染んだ感じで1番風呂をもらい、シャワーを浴びながら考える。
異世界に来てからはや5日。楽しいイベントが目白押し過ぎて息をつく暇もなかったが、何とか生き残っている。
しかし、俺が生き残るのはいいが、元の世界はどうなっているのか。母さんは急に一人息子が失踪して悲嘆に暮れていたりしないだろうか。
神は俺をこの世界に喚んだ理由を明かさなかった。最初はただ俺を見て面白がっているのかとも考えたが、奴は俺にグダグダだ、と言った。つまり、グダグダされると困る、ということではないだろうか。
「やって欲しいことがあるなら言えよ…」
湯船に浸かりながらボヤく。あいつがちゃんと説明さえしてくれれば、俺は明確に目標を持って行動できたんだがな。
…のぼせてもアレだし、さっさと上がるか。明日は時間があれば、図書館にでも行って神話でも調べようかな。
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風呂から上がると、入れ違いでイミテとワイスが風呂に入っていった。特にやることも無いので、まだ9時くらいだが寝床に入る。
今日は疲れたし、何か忘れている気がするが、早めに寝ても問題ないだろう。
目を瞑ると、すぅっと意識が沈みこんでいく。疲れている日に眠りにつくのは、どうしてこんなにも心地よいのだろう。と、おっさんのようなことを考える。
もうちょいで寝れるって所まで来たところで、ガチャリ、と部屋のドアが開いた。
そのままテクテクと足音が近づいて来て、
「えっと、おじゃま、します?」
なんて、可愛いことを言いながらベッドに潜り込んでくる。ああ、そうか。イミテも同じ部屋を使うって言ってたっけか。
ここにはベッド1個しかないし、まあしょうがないな。
…とはならないだろう。
「悪いイミテ、すぐ退くから。」
まあ、所詮居候だし?むしろ今まで部屋があった方がおかしい。これからはリビングのソファーで寝よう。と、ベッドから降りようとすると、
「待って、このままでいいですから。いや、このままがいいです。1人だと、不安なので…」
なんて言いながら縋りつかれてしまった。
ヒヤリとした手が…
──考えるな。
…クソっ、俺を尊死させる気か?俺が長男だったから良かったものの、次男だったら死んでたぞ。一人っ子だけど。
「はは、イミテは甘えん坊だなぁ。」
言ってて薄ら寒くなるが、イミテが喜んでいるので構わない。
抱きしめて頭を撫でる。お風呂上がりの髪の毛は、フワフワでとても触り心地がいい。耳もモフモフで、この異世界での目標が1つ叶ってしまった。
「もう、やめてください。そんなに幼くないですよ。」
そう言いながらも、抱き締め返してくるイミテ。
冷たい肌に…
──考えるな。
…あまりに信用してくれているようで少し不安になるが、幸せがそれより5000兆倍くらいデカいので何も問題ない。
まるで妹ができたみたいだ。ずっと妹が欲しかった俺の人生は、ここに来て幸せの絶頂に至った。
「あ、そう言えば、ワイスさんから伝言があります。『明日はイミテちゃんの服買いに行くから、約束破った罰として、服選んであげてね』だそうです。よろしくお願いしますね。」
図書館計画は木っ端微塵になった。
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翌日、究極に可愛い服を選ぼうとした俺は、イミテを2時間程服屋で拘束した。好感度が明確に下がった気がするが、イミテが可愛いので何も問題ない。
お風呂でラッキースケベ展開あると思った?ねぇ、あると思った???ないんだよなーこれが…




