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第21話:「的外れ」

前回のあらすじ、イミテの名前をやっと出すことができた。

黙々とご飯を食べ続けるイミテと、イミテの処遇について話し合う2人を横目に、俺は思考を巡らせる。

イミテは今どんな状態だ?袋に入っていたイミテは、完全に死んでいた。この世界の魔法では、傷の治りを早くしたり、多少の怪我を治したり、ということは出来ても、部位欠損などの大怪我を治すことはかなり難しい。ましてや死者の蘇生なんて、絶対にできないはずだ。

じゃあ、俺のスキルに魔法を上回る回復能力があるのか、これも否だろう。今まで黒い何かで左腕やら腹に空いた穴やら治してきたが、何となくそれは他者に使えるものでは無い気がする。だからこそ、俺はあの時ワイスを庇って突進を食らった訳だし…うーん…わかんね。


「イミテの処遇は決まったか?」


一旦思考を停止して尋ねると、


「やっぱり、本人の意見を尊重したいんだよね。だからイミテちゃんに聞いてみましょう!」


と、急に大声をあげるワイスにビクッとしながらイミテが反応する。


「はいっ、なんでしょう!」


「ズバリ、この中の誰について行きたい?」


あ、もう話はそこまで進んでたんですね、孤児院は受け入れられないって言ってたしまぁ仕方なくはあるんだけど、せめてイミテに聞く前に俺にも説明して欲しかったなあ。


「えっと、ついて行くって言うのは、そういうことですよね、うーん…」


俺たちを見回して考えるイミテ。賢い子だ、この怒涛の展開に着いてきている。やっぱり、しっかりしているブラストを選ぶだろうか。それとも、母親と2人で暮らしていたらしいしワイスを選ぶだろうか。

というか、これから2人のどっちかはイミテと暮らしていくのか?そりゃ、2人ともランクCの冒険者だし、ちょっと頑張れば2人ぶん養うくらいなんともないのかもしれないが。この時期になっても何をするか決まってなかった俺と違って、2人はすごいなぁ。うん。なんでその2人は俺の方見てんの?


「ルークさんがいい!です。」


イミテがこっち見てるからだね、そりゃそうだな。


「うん、考え直した方がいいと思うぜ。俺なんかなんにもできないし。」


何より俺に保護者は務まらないだろう。


「いえ、決めました。それにルークさんがわたしを治してくれたんですよね?」


あちゃー、それで好感度稼いでたか。まあ、実際その通りだし、今のイミテがどんな状態か知りたいこともある。大人しく引き受けよう。


「わかった。こんな俺でいいのなら。」


手を差し出すと、イミテは花のような笑顔になって、


「はい!これからよろしくお願いしますね!」


と言って、握手どころか抱きついてきた。


「決まったみたいだな。じゃあ、また何かあったら連絡してくれ。」


そう言ってブラストはとっとと帰って行った。

───────────────────────────

抱きついたまま離れようとせず、胸にグリグリして来るイミテ。はっはっは、()いやつめ。と頭を撫で回していると、


「うんうん。仲もいいし、相性バッチリだね!頑張ってねルーク。」


とかワイスが他人事みたいに言っているので、


「ワイス?俺が保護するってことは、ここの住人が1人増えるってことだぞ。」


と言ってやった。するとワイスは「あっ、そう言えばそうだな」みたいな顔をした後、少し考えて、


「じゃあ、部屋はルークと同じ部屋使ってね。」


とか、とんでもないことを言う。いくら俺に懐いていても、流石にそれは可哀想だろう。打開策を考える。


「確かもう1つ部屋があったよな?それを使えばいいだろ。」


ワイスの家は二階建ての普通の一軒家で3LDK。俺は入ったことは無いが、もう1部屋あるはずだ。


「あれは妹ちゃんの部屋だからダメー。」


と、顔の前で大きくバッテンを作る。こいつ、妹居たのか。ぐぬぬ、何かほかの手は無いのか、と思案していると、


「ルークさんは、わたしといっしょの部屋、イヤですか?」

「何も問題ない。」


イミテがたいそう的外れなことを捨てられた子犬みたいな顔で質問してきたので、かなり食い気味に答えた。

命を助けた。と言っても、それだけでついて行くに値する信頼をするのには早くないか?俺からすれば普通にブラスト一択だと思ったんだがな。

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