第20話:「可愛い」
前回のあらすじ、生き返らせた少女を、ワイスの家にとりあえず連れていくことになった。
俺たちは日が傾いてきた頃にワイスの家に着いた。ワイスに少女を保護した経緯を話そうとすると、
「長くなりそうだし、先に晩御飯の準備していい?話は料理してる時に聞くからさ。」
俺から買い物袋を取り上げてそう言ったのだった。
──────────────────────────
「ふむふむ、つまりルークはチンピラをやっつけて、あの子を助け出したってこと?やったねルーク、お手柄だよ!」
唐揚げを揚げながら話を聞くワイス。ああ、こら、肉を持ったままこっち向くな!普通に料理しながら話を聞けないのかこの天才さんは。てか、
「なんか、量多くね?」
「ん?あの子も食べるんだよね?」
彼女はリビングでお行儀よく座っている少女を見て言う。いや、それにしても多い気がするんだが…
「それにしてもあの子可愛いね!後でなでなでしていい?」
「いや、俺に聞いてどうすんだよ。」
そうこうしているうちにブラストが来たので、話を聞きに行く。
───────────────────────────
「ダメだった。孤児院はどこもいっぱいいっぱいな上、捨て子ならまだしも、スラムで育った子供は受け入れられないとのことだ。」
浮かない顔でそう言うブラスト。俺がのんびりコメディな感じで帰って来ている間に、結構頑張ってくれていたみたいだ。かなり申し訳ない。
「気にすんなって、お前のその努力だけで俺は嬉しいよ。あの子のことは、これから考えればいい。」
そんなことは無いが、目の前の今にも死にそうな顔をしてる奴を必死に励まそうとする。
「それまでの間は、誰があの子の面倒を見るんだ?お前か?」
「おぅふ。」
正論でぶん殴られたでござる。軽率な発言は慎もう。
「ご飯できたよー!ブラストも一緒に食べよー!」
随分と呑気な感じでワイスが呼びに来た。
───────────────────────────
「美味しいです。こんな美味しいご飯は初めて食べました!」
目をキラキラさせながら少女は言う。可愛い。スラム育ちだから美味いものを食ったことが無いのか?てか、
「やっぱり量多かったじゃねぇか。」
少女は少し量が少ないが、ほぼ4等分でちょうどいいくらいの量になっていた。これ、元々2人で食べる予定だったってマ?
「え?そうかな?男の子だしいっぱい食べると思ってたんだけど。」
ブラストを見ながら言うワイス。するとブラストはワイスを見つめ返しながら、
「え、お前、そういうことだったのか?」
と、信じられないような目をしていた。あー、これは昔3人前食わされたことがある目ですね。
「いや、そうじゃなくてだな。結局、この子をどうするか、と言う話なんだが。」
ブラストが本題に入ろうとすると、
「この子、じゃないでしょ。君、名前はなんて言うの?」
すっかり頭から抜けていたことを、ワイスが聞いてくれた。急に話を振られた黙々と唐揚げをもっきゅもっきゅしている(可愛い)少女が、少し咳き込みそうになりながら飲み込むと
「わたし、イミテ、って言います。あ、おかわりお願いしてもいいですか?」
笑顔でワイスに皿を差し出しながらそう言った。可愛い。
ルークの異世界定義メモ
イミテに聞いた話だが、獣人は明確に差別されたりすることは無くても、人のなり損ないとして、見下す人は多いようだ。




