第19話:「いい加減にしろ」
前回のあらすじ、俺のスキルによって、死体の少女は生き返った。
「君、家の場所は分かるか?」
俺が何も言えずに居ると、ブラストが質問をしていく。
「えっと、わたし、家はありません。」
少女が少し申し訳なさそうに答える。
「そうか、じゃあご両親は?」
「お父さんは、見たことなくて…お母さんは、人攫いさん達に殺されちゃいました。」
自分の母親が殺されたことを淡々と語る少女。そのドライさは、スラム育ち故のものか、それとも何が別の理由があるのか…
「そうか、それは悪いことを聞いてしまったな。済まない。」
「いえ、必要なことですから。気にしないでください。」
そう言って少女は笑う。おかしい、見た目11か12くらいの歳の女の子が、こんなにも冷静な対応ができるだろうか。
「わかった、ありがとう。ルーク、この子をワイスのところまで連れて行ってくれないか。俺は、モヒカン達の応援も兼ねてこのことを衛兵に報告して来る。」
居るのかよ、衛兵。てか、落ち着いたとはいえさっきまで錯乱してた人間に幼女預けるとか正気か?こいつは、話し合いで余程俺の事を信用してくれたらしい。いつか詐欺られるぞ。
「それはいいんだが、ワイスにどう説明すればいいんだ?」
俺が誘拐犯だと思われたらたまったもんじゃないんだが。
「大丈夫だ。ワイスにはこちらから連絡を入れておく。すまないが、あとは任せたぞ。」
それだけ言うと、ブラストは行ってしまった。
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裏路地から戻る途中で置いてきた買い物袋を拾う。そう言えば買い物に来ていたんだったな。てか、俺って絶対安静って言われてなかったか?帰ったら怒られるなあ。と、ガックリと肩を落としていると、
「どうかしたんですか?ルークさん。やっぱり、獣人の御守りなんて嫌ですか?」
視界に入れないようにしていた少女から声を掛けられる。未だに俺は、自分のやった事を受け入れられないでいた。いや待って、獣人って言った?
「お前、獣人だったのか。」
「…?そうですよ?それが嫌なんじゃなかったんですか?」
すごい勢いで振り向くと、確かに彼女の頭には、三角形の犬耳が生えていた。ピンと立っていて、彼女が首を傾げると、つられてフワリと揺れる。
「そんなわけないだろいい加減にしろ。」
早口且つ真顔で言い返す。さっきは凄惨な光景すぎて、直視できず気づけなかったが、目の前の可愛いの集積体を見ていると、その凄惨な光景で抉られた俺の精神が超高速で回復していくのを感じた。
「…?ごめんなさい?」
よく分からないがとりあえず謝る少女。あぁ、可愛い、その困惑した表情もとても尊い。
「違う!君は謝らなくていい。悪いのは俺なんだ。」
「わぁっ!?」
そう言って彼女を抱きしめる。街の往来だが、気持ちを抑えることが出来なかった。俺は完全に不審者だが、それでも構わない。
「あの、すみません。恥ずかしいので、離してください。」
「あぁ、悪かった。」
彼女の顔を見ると、混乱と羞恥で目がグルグルしていた。全くなんでそんな全てのリアクションが可愛いんだ!
「あのっ!早くそのワイスさん?のお家へ行きませんか?」
頷く、これ以上ゆっくりしていると、さっきとは別の意味でおかしくなりそうだ。
「そうだな。実は俺もおつかいを頼まれててな、急いで帰らないとなんだ。」
そう言って歩き出そうとすると、
「手を、繋いで貰ってもいいですか?なんだか、怖くて…」
そう言っておずおずと手を差し出してくる少女。冷静に振舞っては居たが、やはり怖かったのだろう、
「もちろん、構わないよ。」
彼女の手を握る。柔らかいその肌は、ひんやりと冷たかった。
後で聞いた話だが、彼女の敬語は母親から教えられた処世術らしい、切ないな。




