第13話:「仲直り」
前回のあらすじ、気絶から回復した俺は、ブラストからワイスが両親を冒険者に殺されていることを聞かされた。
確かに、もう夜なのに親が居ないのも、料理をワイスが作っていたのも、違和感が無いわけではなかった。俺が寝かされていた妙に生活感の無い部屋も、元々両親の部屋だったと考えれば納得だ。
「それからワイスは、表面上は以前と変わらないよう振る舞っていたが、他人と必要以上に関わらないようになったんだ。」
沈痛な面持ちで、ブラストは話し続ける。
「俺なりにワイスの心の傷を癒そうと、気を使って話しかけたり、パーティに誘ったりしたが、無駄だった。」
なるほど、そんな彼女が急にどこの馬の骨とも知れない奴とパーティを組むと言い出したら、気になって当たり前か。
「だいたい事情はわかったが、それを俺に話して何をさせたいんだ?」
「疑り深いな、お前も。なに、特別なことじゃない。」
ブラストは改めてもう一度俺の目を見ると、
「あいつの、そばにいてやってくれ。」
そう言うと、ブラストはまた頭を下げた。
「塞ぎ込んでいたあいつが、やっと誰かと関わろうとしたんだ。だから、あいつから離れないでやってくれ。」
それは彼の、不器用で真っ直ぐな優しさだった。こいつがワイスのことを真剣に考えているのは、まぁわかった。
「ただのご近所さんの癖に、なに保護者面してんだよ。」
下げ続けられているブラストの頭にデコピンを入れる。
「痛ってぇ!こっちが真剣に頼んでいるのに、なんだその態度は!」
やっと顔あげやがったな。少し気恥ずかしくて、首を掻きながら、
「うっせぇなぁ。お前の代わりに、ワイスの面倒見りゃいいんだろ?それくらいなら頼まれてやるよ。」
俺が手を差し出すと、ブラストはふっと鼻で笑い。
「あぁ、頼んだ。俺がその役目でないのは業腹だがな。」
俺の手を力強く握り返してきた。痛てぇ。
───────────────────────────
ブラストとの話を終えた後、家の中へ戻る。平然とワイスの家の中に入っているが、どうしてここまで心を開かれているのだろうか。ワイスの両親を殺した冒険者は、まだ捕まっていないらしい。確かに最初こそワイスを助けたが、俺みたいな不審者は、真っ先に警戒されて然るべきなのでは?
「ブラストとの話は終わった?ルーク。その様子だと、まだ仲直りできなかった?」
玄関でボーッと考えていると、俺が入ってきたことに気づいたワイスに声をかけられた。
「あぁ、いや、なんでもない。ブラストとは話をつけてきたから、心配しなくて大丈夫だ。」
それよりも俺には、解決しなければならない問題があった。
「なぁワイス。俺はどうやら魔動機を使えないらしいんだが、何か心当たりはあるか?」
昨日の夜はそのせいで洗濯できなかったからな。この先も魔動機を使う時が来るだろうし、なんとかできるならその方がいい。
「魔動機が使えない、かぁ。うーん、魔力があれば誰でも使えるはずなんだけどなあ。」
ワイスにも心当たりはないか。仕方ない、今日も洗濯はできないだろうが、まぁ死ぬわけでもないしな。諦めて家を出ようとすると、
「ねぇ、ルーク。ちょっと思いついたんだけど、それなら私が魔動機を使えばいいんだよ。」
なんかよく分からんことを言い出した。
「はぁ?どうやって?」
まさか俺が魔動機を使おうとする度にいちいち呼べと?
「つまり、ルークがこの家に泊まれば、ルークは魔動機使う必要ないよね、ってこと!」
まだ異世界生活始まって3日なんですけど、イベントありすぎでは?
なぜワイスは、ここまで俺なんかに構うのだろうか。




