第10話:「なんでもない」
前回のあらすじ、
異世界転生したけど俺は最弱で、ヒロインが最強なんですが!? ~俺にも活躍の場をください~
って感じ
結局何事もなく街に帰ってきた俺達は、ギルドに依頼の達成を報告して、今は次の依頼に向けて一休みしているところだ。勢いに流されてここまで来てしまったが、やっと落ち着けるタイミングだ。ここで話しておいた方がいいだろう。
「ワイス、話しておきたいことがある。」
「ん、なに?ルーク。」
ミルクティーのようなものを飲みながら、ワイスが応える。
「俺のスキルは、実は俺にもよく分からないんだ。最初は村のみんなが使ってたって言ったけど、それも嘘なんだ。騙して悪かった。」
頭を下げる。これ以上黙っている訳にはいかない。俺は必要ない嘘をついて善人を利用できるほど図太くない。
「え、そんなこと?なーんだ、すっごいシリアスな顔で言うから身構えてたけど、損しちゃった。」
けれど、返ってきた言葉は予想外なもので、
「つまり、ルークと一緒に居れば、まだ誰も見たことないスキルの発見者になれるかもしれない、ってことでしょ?それならそれでOK!」
「それは…そうかもしれないが…」
彼女が俺から離れる理由を探す。
「俺は、さっきまで嘘をついてお前を利用していたも同然なんだぞ!それでもいいのか!?」
「それも、今謝ってくれたよね?」
「でも…」
「それに、」
俺の言葉を遮ってワイスが言う。
「私は、命の恩人を道案内しただけで、あとは見殺しにできるほど、薄情じゃないんだよ。」
「でも、それじゃあお前にはなんの得も…」
「ルークこそ、」
「なんでそこまで私から離れたがるの?」
言われて、気づく。俺はワイスのことを考えて言ってるんじゃなくて、他人と関わることを恐れているだけだ。
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小学生の頃は、よく友達と遊んでいた。学校が終わったあと、毎日誰かの家に集まって、バカみたいにはしゃいで…
でも中学生になる時、引越しをしてからは変わってしまった。引越しの理由は親の離婚。友達と父親の両方を同時に失った俺は、他人との関わり方すら失ってしまったみたいで、新しいクラスメイトの雰囲気とかに着いて行けなくて…
結局、学校では誰とも喋らず、家に帰ってはゲームに没頭し、人と関わることを避けていた。一人で居ても幸せなんか掴めないのに…
俺は後悔していた。高校に入ってからも他人との関わりを避けてしまったことを、変わるチャンスを捨ててしまったことを。
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だから俺は、ここで変わる。誰も元の俺を知らないこの世界で、臆病な俺を捨て去る!
「いや、なんでもない。忘れてくれ。」
「これからもよろしく頼むぜ?ワイス。」
挑むようにワイスに言う。俺はもう、逃げない。
「うん!これからもよろしくね、ルーク!」
さしあたっての目標は、俺の謎スキルを解明して懸念を無くすこと、だな。




