表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/70

第6話:危険生物

 そして、あれから俺はどんどん魔法の扱いが上手くなっていた。

 今では水魔法だけではなく、氷魔法や風魔法、木魔法まで使える。今はもう暴発する事もなくなり、その魔法を使っても安全になったのだ。


 そして、一見何の関連性も無い魔法だが、この4つの魔法が合わされば外に出れるんじゃないかと思っている。


 木魔法で木を生み出し、氷魔法で接合していく。それでボートの完成だ。

 後は水魔法と風魔法を駆使して、ボートを動かせば、無事に島の外に出れるかも知れない。


 あんなに遠くに思えた島の脱出という目標も、今では相当近くなって来た。


「さてと、今日もやって来るか!」


 ゴリラ達から隠れて離れ、まだ未完成のボートの元まで向かう。

 流石にボートの作成をゴリラ達に手伝ってもらう訳にはいかない。相談したら邪魔されるかも知れないし……もし手伝ってくれたとしても良いことではない。

 惚れた相手が逃げ出すというのに、それの支援をさせるなんて、ゴリラ達からすればきついだろう。正直、そんな事は絶対にさせたくはなかった。


 そう思って、進んでいた時、嫌な予感が走った。

 本能がこの場に居るなと告げているかの様な感覚が奔り、俺は走り去ろうとした。


 そして、その瞬間に、おかしな生物が現れた。

 まるで紫色の木の根を無数に繋ぎ合わせたような、歪な形をした謎の生物。

 そいつの通った道は全て黒ずんでいる。あの青く、綺麗だった木すら黒くなり、しわしわに縮んでしまっている。


(何だあいつは……。)


 正直、この世界でゴリラに初めて会った時よりも恐ろしかった。

 前世の経験からの恐怖、などという生易しい物ではない。


 人間は絶対に挑んではいけない、体の芯からそんな恐怖を染み込まされているかのようだった。

 俺は足が竦んで逃げ出す事も出来ず、ただ木の後ろに隠れる事しか出来なかった。


「フシュルルルル……」


 謎の生物は周りの物を全て黒く染めながら、その場を去っていった。


「……っはぁ! な、何なんだあいつはいったい!」


 俺は気付いた時には息を止め、汗を大量に流していたらしい。

 それだと言うのにまるで熱くない。それ程に、あの生物は体の底から凍らされてしまう様な、冷たい威圧感を放っていた。


「じょ、冗談じゃねぇぞ。危険な場所では無いって話はどこ行ったんだよ……。」


 あんな生物の居る森が危険では無いなんてふざけた話だ。どう考えたってあれは危険そのもの、と言っていいぐらいにやばい奴だ。


 やはり、元から宛にはならなかったが、あの球体の言う事は信じない方が良いらしい。


「クソ……どうすっか。」


 間の悪い事に、あの化け物が行ったのはボートがある方角だ。正直言ってボートは惜しいが、諦めるしかない。

 命あっての物種だ。ボートの為にあんな化け物とやり合うなんて、そんなバカバカしい真似は絶対にしたくねぇ。


「戻るしか、ねぇか。」


 俺はゴリラ達の巣へと戻った。


ーーー


 巣に入った瞬間、例のキモゴリが抱き着いてきた。


『あぁ〜ん、もー! ようやく帰ってきたのね、心配してたのよ?』


 どうやら、何も言わずに出て行ったせいか、心配を掛けてしまっていたらしい。

 しかし、心配してくれるのはありがたいが、抱き着かれるのは勘弁してもらいたい気分だ。


 今から【マジシャルバナナ】3個分程、胃の中からせり上がってきそうな気がする。


 俺が限界を迎える前に、ママゴリがキモゴリを押し退けてくれた。


『全く、落ち着きなさい。突然抱き着かれると彼も困っちゃうわ。』


『うぅ……はーい。』


 キモゴリが少し涙目になりながら、スゴスゴとその場から離れた。


『それに……貴方もよ、何も言わずに出て行っちゃったら皆心配するわ。言ったでしょ? ここには危険な生物が居るのよ。』


「そうだな、悪い……。」


 危険な生物が居る……か、それは確かに痛感した。あんな生物が居るのであれば、ゴリラ達に心配を掛けてしまうのも無理はない……。


『分かったのなら良いわ。それじゃ、早速夕飯にしましょう。』


「あぁ、分かった。」


 俺は今回の教訓を活かし、なるべく安全な場所を見つけてからボート作りを始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ