第48話:大海原の主
地平線の彼方まで続く、大海原。その先はまるで見えない程に広い海だった。
「凄えもんだな……。地図があるから真っ直ぐ行けるとは言え、ちゃんと外に辿り着けるか不安になってきたぜ。」
俺は額から少し流れる汗を拭った。
そして、イリーナはその呟きに、フッ、と笑った。
「大丈夫さ、このボートも見かけ以上に頑丈な様だし、あの店主も嘘は着いていないだろう。大陸の外までは、問題なく行けるはずだ。」
「そうだな!」
俺は大きく頷き、イリーナと一緒に、ボートを海の上に置いた。
「さぁ、行こうぜ!」
「あぁ!」
「フシュゥッ!」
2人の仲間と共に、俺はボートに乗った。
そして、そのボートはどんどん前へと進んでいった。どうやら、本当にそういう機能が備わっているらしい。
「よし……スタートは順調に切れた様だな。問題は、ここからという事か……。」
これからは海のモンスターと戦って行かなきゃならねぇ。恐らく、そう簡単には逃してくれねぇはずだ。
実際に、既にこのボートの周りに何体か集まって来ている。
「ギギギギ……ギギァァァァァッッ!」
そして、一際でかい龍の様な奴がこちらに飛んできていた。
波に直接触れてもいねぇのに、そいつが飛んでいる余波で海が割れ、大きな波を作り出す、青の線と化していた。
「大海原の主、リヴァイドか……!」
イリーナはその言葉と共に、スッと立ち上がり、綺麗な動作で剣を抜いた。
そして、その青の龍を、剣1つで弾き返した。
鋭い金属音と共に、龍が弾き飛ばされ、そして、イリーナは平然としている。
「クラジレン、私は大群戦には向いていない。あの龍はこちらで倒す。お前は周りの雑魚を頼む。」
「OK、任せときな。」
俺達は船の上で背中合わせになり、お互いに自分の戦う相手を警戒した。
つっても、俺の魔力は殆ど残ってねぇ。放てるのは氷の槍3本程……その3本で、どうやって相手を倒すか……。
「まぁ、答えは1つしかねぇよな……!」
俺は一種の確信を持ち、飛んでくる、赤いピラニアの様なちっちゃい魚の突進を、躱した。
そして、次の瞬間、奴の体を木の根が貫いた。
「協力してくれ、クルヴァース。魔法はなるべく温存しておきたい。」
「フシュゥッ!」
クルヴァースは小気味よい返事と共に、うなずく動作をしてくれた。




