第42話:食事
「さてと、飯にするか!」
「幸いここの商店街は賑やかだ。食う物には困らないだろうな。」
その言葉通り、イリーナは早速唐揚げを買って来ていた。
「フシュゥッ! フシュゥッ!」
自分も食べたいと言わんばかりにクルヴァースがピョンピョン跳ね出した。
……何か、俺もこいつの意図分かってきた。めちゃくちゃ単純だしな。
「分かった分かった、ほら……。」
彼女がクルヴァースに唐揚げを差し出すと、唐揚げが木の根を滑って行き、こいつの中心部で消滅した。
「な、何があったんだ……?」
怪訝そうな表情で彼女は眉を寄せながら、再び唐揚げを差し出した。
そして、木の根を滑り、消滅した。
「わ、分からん……。食べれてはいるのか?」
その問いに対し、クルヴァースは伸びたり縮んだりを繰り返した。
どうやら、あの謎の現象がクルヴァースにとっての捕食で間違いないらしい……。めちゃくちゃ不思議だ。
「ふむ……。」
納得した様に頷き、イリーナは1個、また1個と、どんどんクルヴァースに唐揚げを渡していった。
「なぁ、食べ過ぎじゃね?」
流石に無くなってしまいそうな速度で渡しているのは見逃す訳にも行かない。
その時、彼女がこちらに振り向いた。
「クラジレンもやってみろ。これは中々楽しいぞ。」
「そうか……。」
内心、本当かよ、と思いながら、俺はクルヴァースに唐揚げを差し出してみた。
それも、先程と同じように、木の根の表面を滑り、消滅した。
「……あ、楽しいかも知れねぇ。」
俺の呟きに、彼女は自信満々にニヤリと笑みを浮かべた。
「だろう?」
いや、俺もこんなに楽しいとは思ってなかった。何か、流し素麺をやってる様な気分になってくる、これは楽しい……。
そして、俺とイリーナはクルヴァースに唐揚げを遣り続けた。すると……。
「フシュゥゥゥッッ!」
ブチギレた様に木の根に血管を浮かせながら、クルヴァースがピョンピョン跳ねている。
「す、すまない……。」
流石に唐揚げを遣り過ぎたらしい。あんなに無理矢理食べさせられれば誰だって怒る……。
俺達がクルヴァースに頭を下げると、奴は腕を組む様に木の根を組みながら、少しだけ伸びて縮んだ。
「フシュゥ。」
その鳴き声と共に、クルヴァースは怒りを鎮めた。
どうやら、許してくれたみたいだ。
良かった良かった……。
「なるほど、すまないなクルヴァース……それで、もう一回だけやっては駄目か?」
「フシュゥッ!?」
何言ってんだこいつ!? とでも言わんばかりに、体が大きく飛び跳ねた。
「イリーナ……流石にそれは駄目だと思うぜ……。」
「むぅ、駄目か……。」
そこまで言うと、彼女も納得が行ったようで、コクリと頷いてくれた。
「じゃぁ、別の食べ物を買うとしようか、流石に唐揚げも少なくなってしまった。」
「そうだな。」
俺は彼女の言葉に同意し、すぐそこで売ってあった焼きそばを多目に買ってきた。
「よし、では唐揚げの残りと、それを食べて食事とするか。」
彼女がそう言って、手を伸ばした時に、クルヴァースがまた跳ね出した。
「フシュゥッ! フシュゥッ!」
どうやら、焼きそばを食べたくなったらしい。俺達は奴の様子を確認したと同時に、流しクルヴァース第2ラウンドを開始した。




