第41話:ホムンクルス
俺達は陸に着き、暫く歩いた先でその町に辿り着いた。
至る所に商人が居て、凄く活気のある町だった。
「凄いなここ! 賑やかな場所じゃねぇか!」
こういうのを見ると少しテンションが上がってくる。
商店街みてぇにあらゆる商人が道で所狭しと並んでいるのだ。圧巻の光景であり、商人が出している物が全て真新しい物で、刺激的な場所だった。
「クラジレン、まず食事をとって、その後に非常食や船の調達をするとしようか。」
「お、おう……。」
目の前に形が勝手に変わる風船だとか、硬くて食べれる紅いロープなどがあって少し興味を惹かれたが、とりあえず食事が先だな……。
って、待てよ……。商店街みたいな場所で、食事か……。しかもイリーナと一緒となると……ちょっとドキドキしてくるような……。
「フシュウフシュウッ!」
すると、クルヴァースが木の根をじたばたとさせていた。
「……何やってんのかは知らねぇけど……。こいつって居て大丈夫なのか?」
「問題無いぞ。世の中にはホムンクルスと言う生命体が居てな、クルヴァースもそれと同じだと言い張ればいい。ちょっと無理がある気もするが問題ない。あとこいつは自分も何か食べたいと言っている。」
お前も何か食べたいのかよ、そもそも口どこにあるんだよ。とも思ったが、そんな事よりも重大な事を聞いた気がする。
「ホムンクルスかぁ……ちょっと、気になるなぁ……。」
少しホムンクルスと言う生命体にもロマンを感じる。
あまり詳しくは知らないが、そもそも錬金と言うもの自体が結構ロマン溢れる物だと思う。
すると、商人が両手を合わせながら、俺に近づいてきた。
「へっへっへ、ホムンクルスに興味があるんですかぁ? お客さん。」
俺がそれに反応しようとした時、イリーナがその商人の前に出た。
「帰れ、ホムンクルスになど興味はない。」
イリーナは冷たい瞳で商人を見ていた。
睨んでいる訳では無いが、その目には何か怒りが含まれている様な気がした。
商人はそれを見て、「へいへ」と言いながら別の人に声を掛けに行った。
「……どうしたんだよ? イリーナ……。」
「悪いな……ホムンクルスと言うのは正直、あまり好かないんだ。」
彼女がそういう風に言ってんのは少し珍しいな。ホムンクルスってのは、余程変な物なんだろうか……。
「そうだな……ホムンクルスと言うのは魔力で動く生命体でな。ホムンクルスは魔法で魔力を与えてやると、動き出すのだ。そこまでは問題ないのだが、ホムンクルスにはその魔力を与えた者の命令は逆らえない様になっているんだ。つまり、命令とあれば、それがどれだけ自分自身の意思に反する事であっても、従うしかない。」
あぁ……なるほど……。
それはあんまり好きになれねぇ訳だ。幾らなんでも完全な奴隷を購入しますか? みたいな事を言われて頷ける訳がねぇ……。
「イリーナの気持ちは良く分かったぜ……。よし、ならホムンクルスの事は今後忘れる事にしとくぜ!」
「あぁ、すまないな……。」
「これくらい構わないって!」
彼女にサムズアップを向けて、前を歩いた。
後ろで、イリーナが静かに笑っている声が聞こえた。




