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第39話:浮遊大陸

 俺達は海辺の方に移動していた。俺の推測の最終確認を済ませるためだった。


「おいクラジレン。こんな所で何をすると言うんだ?」


「……少し確認してぇことがあるんだよ。今から、魔法を海に落とす。構わねぇか?」


 俺は地図を手に取り、ママゴリに聞いた。


『……あまり大きすぎなければ、大丈夫だと思うけど念には念を入れるべきね。どんな魔法を使っても私が消すから、安心していいわ。』


 流石ママゴリ、頼もしさが違う。ってか魔法を消す事なんて出来たんだな。


「よし、早速落とすぜ!」


 俺は地図に水を落とした。それは大きな丸い水滴となって、海の方へ落ちていく。

 しかしそれよりも一歩早く、ママゴリが地図に向かって放った白い矢が水に衝突し両方とも消滅した。


『ふぅ……これでいいかしら?』


「おう、充分だぜ」


 やっぱり、推測は間違ってなかった。これで、謎が解けたぜ。


「皆……球体が居る場所。いや、向かうべき場所が、分かったぜ。」


「む……? それはいったいどこなんだ?」


「へへっ、ここだぜ」


 俺が指を差した場所は、地図ではなく、その横の地面だった。


「何……?」


 イリーナは怪訝そうな表情で俺の指を睨んでいた。


『なるほど……大陸の外、という訳ね。クラジレン、貴方はこの地図が世界全てを写しているとは思っていないという事ね?』


「おう。」


 俺がその言葉に頷いた時、イリーナの目が更に細くなった。


「なぜそう思うんだ?」


 そう聞かれると少し返答に困る。

 これからは、異世界の人達にとっては突拍子も無い話が出まくるからな……。でも、話してみるしかねぇな。


「まず、そもそも俺達が立ってるこの大地……全部ひっくるめて星って言うんだけどな。その星は丸いんだよ。」


 皆がそれを聞いた瞬間、口をポカーンと開いて、何度も瞬きをしている。


『ま、まぁ、良いわ……。この大地が丸いとして、それがどうしたの?』


 ママゴリは色々疑問に思っている所があるだろうが、それでも話を進めてくれた。


「おう、それを前提として、この地図が星全体を写してるとしたら、少しおかしいんだよ。」


「……何がおかしいと言うんだ?」


「魔法を巨大化させる能力がおかしいんだよ。さっきの水滴。あれは俺が正円の形にして落とした。そして、地図に落とした時も巨大な正円の水滴になっていた。」


『それの、何がおかしいの?』


「もし、この地図が星全体を示していたなら、あぁなるはずがねぇ。つっても、これは説明するより、実際に試してみた方が早えな。ママゴリ、もう一回良いか?」


『えぇ、分かったわ。』


 俺は地図を正円の形に整えてから、先程と同じ水滴を落とした。今度は正円とならず、少し形がおかしな水滴となった。

 そして、ママゴリは再びそれを消してくれた。


『なるほどね……この地図が、丸い星を示しているのであれば最初の実験の時も、あれに近い形になっていたはず、という事ね。』


「おう。」


 やっぱりママゴリは凄く頭が良い。こんな突拍子も無い話を良く理解してくれる。


「なるほど。何か難しいが、とにかく海の外に大陸があると考えれば良い事は分かった。」


「おう、確かにそれで充分だぜ」


『でも、おかしくないかしら?』


「ん? なにが?」


『貴方の推測では、星というのは丸いからあぁなるのはおかしい。つまり、この地図は丸い星全体を示している訳ではなく、この大陸という一部分を示している。ってことよね?』


「おう」


『でも、それならこの大陸だけが平坦ってことにならないかしら? ただ星の一部分であるにせよ、それでも丸の一部には変わらないわ。最初の水滴も、少し形がおかしくなりそうな物だけど……』


「……確かに、そりゃそうだな……。」


 あれ……? 何か推測が間違ってたのか? でもあれだ、最初の水滴も、ほんの少しだけ形が歪んでた可能性が……。いや、待てよ……。


 俺はその時、1つ思いついた。何故そんな事になっているかという、その理由を。

 そして、それと共に何となく胸が熱くなってきていた。


「そうか、この大陸は……浮遊大陸だ!」


 そう考えるとさっきの話とも合う。

 浮遊大陸ならば大地が平坦であってもあまりおかしくない。地図の能力にも矛盾しない。


「浮遊大陸……? 大陸が浮かんでいると言うのか?」


「おうよ! ロマンがある話になってきたぜ! 行ってみようぜイリーナ! この大陸の外によ!」


 話を聞いて少し興奮してきた。

 この大陸が浮遊大陸だとしたら中々ロマンがある話だ。早くその確証を得てみたい。


「……ふふっ、何だか知らんが、元気になってきたな。行ってみようか。」


『気を付けてね。さっきの話が本当だとすると、この外は何があってもおかしくないわ。』


「おう! 分かったぜ!」


 俺はママゴリの言葉に頷き、飛び出して行った。

 イリーナはそれにゆっくりと付いて来てくれていた。魔獣・クルヴァースと共に。

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