表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/70

第37話:治療

「あいたたたたた!」


 あれから、胸の傷は癒着し、足の切り傷も治ったが、腕だけはどうも治りが遅かった。

 その為、今腕に薬を塗ってもらっているのだが、どうも染みて痛い。


「こら、暴れるな。上手く塗れないだろう。」


 イリーナが俺の事を細い目で睨みながら、腕にポーションを塗ってくれている。

 確かにそれはそうなんだろうけど……色々納得行かねえ事があるような……。


「そもそも、ポーションって塗るもんなのか? 飲むんじゃねぇの?」


 俺のそんな疑問に、彼女はふるふると首を横に振った。


「ポーションは塗るものだな。場合によっては飲む時もあるが、基本的には患部に塗って治すのが主流だ。」


「そうなのか……見た目完全に飲み物みてぇだったから勘違いしてたぜ。」


 というか、青い水みてぇな液体をまさか塗る物だとは思わねぇよ……。そもそも塗ってもらっている今の状況でも、なんでポーションが地面に垂れ落ちねぇのか不思議でしょうがねえ。


「塗ると体がポーションを吸収するんだ。だから、傷ついた部位に直接効いていく。しかし飲むと全体に広がるから効果が薄くなってしまうんだ。」


 なるほど、理由を聞いてみると納得が行った。

 というか、そもそもイリーナみたいな美人に傷口を塗って治してもらうって、中々役得だよな。

 ポーションがそんな感じになってて良かった。


 なんて事を考えていると、イリーナは俺の服の袖を元に戻した。


「さてと、腕はこれで終わりだな。」


「お、おう……もう終わりか……。」


 俺が少し残念な気持ちになっていると、イリーナが首を傾げていた。


「どうしたんだ? さっきまであんなに痛がっていたというのに……。」


「いや、何でもねぇ。」


 流石にイリーナにこれは言えねぇ……。自分でも気持ち悪いな、って思うぐらいの話だしな……。

 そう考えていると、イリーナはまぁいいか、と呟き、再びポーションを取り出した。


「さて、次は口内だな、口の中はまだ治っていないだろう?」


「えっ!?」


 まじで? え? 口内も塗られんのか……。それはちょっと照れるというか……。


 いやまぁ、でも……ここまで色々あったんだし、それくらいのご褒美はあってもいいよな!


「しかし、私は少し用事があるからな、これはゴリラ達に任せるとしよう。」


 やべぇ、ご褒美がお仕置きに変わりそうになってやがる。

 そんな事になるほど俺悪い事したっけ……?


「ちょ、ちょっと待て! 勘弁してくれ! 絶対嫌だっ!」


 俺の必死の静止を、イリーナは目を細めながら首を傾げている。


「どうしたんだ? 傷は治した方が良いと思うが……。口内というのはそんなに嫌か?」


「いや……その、なんつーか、イリーナにやってもらいたいなって……。」


 俺の言葉に更に疑問が浮かんだ様に、イリーナは顎に手を当て、怪訝そうな顔をしている。


「まぁ……誰がやっても変わらないと思うが、分かった。」


 そう言って、イリーナによる口内の治療が始まった。

 そして、誰がやっても同じだという意味を理解した。


「ゴボゴボゴボゴボ……。」


「良いか、飲むんじゃないぞ、口の中に残しておくんだ。呼吸は鼻でしろ。飲み込むな、含め。」


 俺は顔を上にあげながら、ポーションを口の中に流し込まれていた。

 そして、それを飲み込まないようにしながら、口内に残す。


 正直、なんの絵面なのか分からなくなってきた。

 確かにこいつは誰がやってもあまり変わらねぇわ。


「よし、ポーションはこれで全部だな。後は口の中に含んでおけば、いつの間にか患部に吸収されているはずだ。」


 そして、彼女は最後に飲み込むなよ、とだけ言い放ち、その場を去っていった。

 俺は、物凄く微妙な気分になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ