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第2話:ゴリラとの出会い

『ごめんなさい。驚かせてしまったみたいで。』


 ウフン、と言いながらゴリラは謝ってきた。

 ゴリラが喋れるという事などこの際どうでも良くなるくらい、その状況はショッキングだった。


「……いや、何で突然……。」


 突然追いかけられて急に抱き着かれて更にキスまでされた。正直、初の頬キスは運命の相手にして欲しかった。とかいう幻想はどうでもいい。

 とにかく親愛行動にしたって度が過ぎているその行動はいったい何だというのか……。


『だって、貴方すっごく良い男なんだもん。ねぇ、そんな見た目してるけど、あなた実はゴリラなんでしょう?』


「いや、ゴリラな訳あるか……。」


 俺はそう言いながら、原因に思い至っていた。これはどう考えても転生特典とかいう奴であるとしか思えない。


 これについて好意的な見方をするなら、転生特典の効果が高過ぎて、別種族の女性にも効果が出てしまう物だという事。

 もししないならば、あの球体は、ゴリラのハーレムを作る為の特典を渡してきたという事だ。


「……勘弁してくれよ……。」


 正直、どちらにしたってゴリラから惚れられてしまうなんて特典は願い下げだ。

 というか、前世の自分を殺した奴と同じ見た目の動物に惚れられる特典を渡してくるなんて、嫌がらせとしか思えない。


『何を勘弁して欲しいの?ダーリン♡』


「頼むからやめろ!」


 もしこいつがドスの利いた声をしてなくても、ゴリラから擦り寄られるという状況は恐怖でしかない。


 俺がそう考えていると、そこに凛とした声が響いた。


『やめなさい!』


 そう言ってさっきまで俺にすり寄ってきていたゴリラを引き剥がしてくれた。

 まるで母親の優しさと力強さを同時に感じる様な声を持って、俺を助けてくれたそいつは、ゴリラだった。


『大丈夫? 怪我はない?』


 そのゴリラは俺の傍に近寄りながら、顔を近づけ、その黒い瞳で俺を心配そうにじっと見つめていた。


「オ……オウ、ダイジョウブ。」


 正直ゴリラに近寄られるだけで色々きつかったが、それでも心配されているのならば、返事をしないのはよろしくない……。

 そう思って、俺は声を振り絞っていた。


『そう、なら良かった。』


「あ、ありがとな……。それじゃ、俺はこれで。」


 胃が限界を迎える前にその場を立ち去ろうとした時、ゴリラに呼び止められた。


『待ちなさい、一人で大丈夫なの?この島は危険なのよ。』


「お、おう……大丈夫。その内抜け出すから……。ん?」


 危険だという一言にも気にはなるが、それ以上に、島? 島ってどういう事だ。


「お、おい……この森の外って……。」


『この森の外? この森は海に囲まれてるわよ?』


「……いや、ちょっと待て……。」


 俺は急いで地図を確認し直した。俺が今居る黒い場所の周りは茶色で囲まれている。

 このゴリラの言う事が本当だとしたら、この茶色の部分は、海って事だ。


「なんてこった……。」


『船も持ってないならこの森を抜け出すのは不可能だわ。だから、もしあなたさえ良ければ、私達の住処に泊まって行っても良いのよ?』


 やばい……。ありがたい話ではあるが、ゴリラと一緒というのは胃が死にそうな話でもある。

 しかし、このまま海の外に出れずに野垂れ死ぬか、ゴリラの元で暮らして打開策を考えるか……。


 そう考えると、答えは1つしかなかった。


「悪い、泊めてくれ……。」


『やったー! 今日から同居ね。ダーリン♡』


 最初のゴリラが俺へと飛び掛かってきていた。

 圧倒的な力の差にまるで抵抗する事が出来ず、地獄の時間が始まり掛けていた。


『待ちなさい、そういう事は巣に着いてからよ。』


『……はーい。』


 た、助かった。

 俺はそう思いながら、先を行くイケメンゴリラの方に付いていった。

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