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第27話:再会

「しかし……無事に上陸出来たのは良いが、ゴリラ達はいったいどこに居るんだ?」


「うーんとな、ちょっと地図を見てみるか……。」


 俺達が上陸した場所は、色が着いてる場所を見れば大体分かる。

 でも問題は、ゴリラ達が住んでる場所が中途半端にしか分からないって所にあるな……。

 記憶もあやふやだし、あやふやなまま進んでいった結果、あの木の根野郎と落ち合った。なんて事になったらシャレにならねぇ。


「どうすっかな……。」


「そうだな……この森にはゴリラとあの生物しか居ないのか?」


 イリーナが何かを閃いた様に額に当てていた指を外し、こちらに問いかけてきた。


「おうよ、木の根野郎とゴリラ以外の生物はあまり見てねぇな。」


「ならばSOSと書いた紙を置いて行けば良いのではないか? そして、そこらにある石を重りにしてやればいい。そうすれば知性のあるゴリラだけが、そのサインを見て私達を偵察しに来ると言う発想に至るはずだ。」


 なるほど……それは良い案かも知れねぇ。早速やってみるか……。


 こうして俺達はSOSと向かっている方向を示す矢印だけが書かれた紙を置いていき、その森を歩いた。


 慎重に、周りを確認しながらゆっくりと森の中を進んでいった。すると……。


 全速力でゴリラが跳んできた。俺達がぶつかったら粉砕されてしまうじゃないかと見紛う程の速度で、ゴリラはやってくる。


「ちょっと待て、あれは大丈夫なのか!?」


「大丈夫……だと信じたい。」


 どうしよう、俺だと気付かれてないのかも知れねぇ。逃げた方が良いか?


『いやーん! 久しぶりね、ダーリン♡』


 ゴリラが突然そんな事を言い出し、全力で抱き着いてきた。

 胃の中からせり上がってくるゼリーを感じながら、こいつは勘弁して欲しかったと思ってしまった。


「ひ、久しぶりだな……。」


「……離してやってくれ。今にも死にそうな顔をしてるんだぞ……。」


 そう言って、イリーナはキモゴリを引き離してくれた。キモゴリも相当力が強いゴリラだが、そういう意味のゴリラ力ではイリーナに軍配が上がったらしい。


『あら、ダーリンにも恋人が出来たの!? 嬉しいけれど少し複雑な気分だわぁ……。』


「いや、恋人って訳でも無いんだけどな。」


 惚れてはいるが恋人ではない。

 イリーナがあまり気にした様子もなく否定しているのに少し悲しい気分になるが、恋人ではない。


 まぁ、ともかくだ。俺は強引に話を変えるためにキモゴリの言葉を手で遮った。


「また迷惑掛けちまう様で悪いんだが……。ちょっとここには用事があって来たんだよ。」


『そりゃそうでしょうねぇ。でも、悪いけれど力になれないかも知れないわぁ……。』


 そうか……まぁ、あれだけはっきりと別れを告げといて今更頼るってのも少しおかしいか……。


 そう思い、俺が少しだけ頭を俯かせていると、キモゴリがぶんぶんと首を振り始めた。


『違うの、違うのよぉ〜。別に見捨てた訳じゃないのよ? でも、今はちょっと緊迫した状態になっちゃってるの。』


「緊迫した状態……?」


 俺のその問いかけに、キモゴリは大きく頷き、更に言葉を発した。


『アナタも会った事あるでしょう? 魔獣クルヴァース……あの全身木の根で出来てるみたいな不気味な奴。』


「あいつそんな名前してたのか……。いや、それでそいつがどうしたんだ?」


『その子は本来は近付かなければ害は無いような子だったんだけど……。急に暴れ始めちゃって……。』


 あの魔獣が暴れ始めた……。

 奴と1度会った事があるからこそ分かる、それがどれだけとんでもない事態であるのかという事が……。


 俺は少しだけイリーナに目配せをした。イリーナは意図が分かった様に、小さく頷いた。


「分かった……。なら、その魔獣退治を俺達も手伝うぜ!」


『えぇ……!? そんなの危ないわよ、絶対にやめといた方が良いわ!』


「そういう訳にもいかん。その魔獣が暴れ始めたとなっては、私達としても放っておく訳には行かないんだ。」


 そうなのか? と思って俺が首を傾げていると、イリーナが得意気な様子でニヤリと笑いながら、口を開いた。


「そうとも、クルヴァースは増え過ぎた大地の力を食らう存在でな、世界の均衡を保つ為に存在しているのだ……。そんな奴が暴れ始めたとなっては世界の均衡が崩れ、大地の力が少なくなってしまう可能性がある。」


 なるほど、クルヴァースはそんな役割を担ってんのか……。とはいえ、大地の力が増え過ぎた……?


「大地の力って増えるもんなのか?」


『そうよぉ、一説では死体のエネルギーを地面が吸収し、それを大地の力に変換していると聞いているわぁ。』


 キモゴリが食い気味に答えてくれた。首をグイとこちらに寄せながら、自慢気にしている。


「そうなのか……。」


 しかし、何とも不思議なもんだ。そんな感じで世界の仕組みが成り立っているのだとしたら、そもそもこの世界の人間の人体構造自体が普通の世界とは違う可能性もあるかも知れない。


 まぁ、そんな事はまだ良いか。ともかく暴れ始めたクルヴァースとやらをどうにかしなきゃならねぇ。


「よし、大体は分かった。そいつが暴れてる所まで案内してくれ!」


『それは良いけど、危ない事はしちゃ駄目よぉ。』


 キモゴリが釘を刺す様に俺に指を向けてそう言い放った。

 しかし、それはどうも言う通りには出来ないかもしれない……。

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