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第25話:逃走

「色々聞きたい事聞いていいか!?」


 俺はあの隊長から逃げながら、イリーナに問いかけた。


「逃走中に説明出来る事ならば構わん!」


「それならまず、封印魔法ってのはいつまで封印されるんだ!?」


 あいつは封印魔法について一定時間封印する魔法と言っていた。

 つまり時間制限があるはずだ。1日とかだったら絶望的ではあるが……。


「そうだな、大体封印魔法を受けてから1時間程だ。それまでは魔法は全く使えん……。」


 なるほど1時間程か……。それぐらいの時間ならばまだ希望はある……。

 封印魔法について知りたいのはこれくらいだ……。他には……。


「なぁ……さっきから追ってきてる奴はいったいなんなんだ!?」


 これが気になっていた。さっきから後ろには俺の2分の1程のサイズがある人形が大量に追ってきている。バッと見ただけでも100は超えている事が分かるので相当な大群だ。


 しかもその全ての人形が赤い髪で赤い瞳、赤いベストに赤いスカート、という感じで血に似た色に統一されているので正直めちゃくちゃ怖い。

 俺が人形を見た中での怖さが日本人形を超えていると思ったのは初めてだ。


「奴等は隊長の扱う魔法で生み出された者達だ! その1人1人が一般人並の強さを持ち合わせているから正直戦ってられんぞ!」


 なんてこった……。んなもん簡単に生み出せるなんて信じられねぇ。

 そんな物一々戦ってられねぇし逃げてもいられねぇ。どっか隠れねぇと……。


「この近くに、丁度いい隠れ場所とかはねぇのか!?」


 俺がそう聞いた時、イリーナの表情が少し険しげな物へと変わった。


「……隠れるのは無理だ。隊長には【探知魔法】がある。」


「なんだって?」


 探知魔法……明らかに嫌な予感しかしねぇ名前の魔法だ……。


「その魔法は1度その目で見たものがどこにあるかを知る事が出来るんだ……。つまり私達も隠れる事は出来ないし、地図を隠す事も出来ん。」


 最悪の魔法じゃねぇか、勘弁してくれよ……。


「そして……それが隊長の常勝手段だ。封印魔法で相手の魔法を封じ、剣術で圧倒する。そして相手が逃げ出したら、相手の居る場所を探知魔法で割り出し、人形で追い詰める。」


 凄え戦法だ……。封印魔法を避けれたならばまだ勝ち目はあるかも知れないが、1度でも封印魔法に掛かると一気にドツボにはまっちまう……。


「だからこそ隊長にその兵器を持たせる訳にはいかない。あの男ならば自分の周りに巨大な人形を設置した後に世界に封印魔法を掛けるぐらいの事はやりかねない。」


 なるほど……そんな事になったら隊長を止めれる奴は誰も居なくなる。改めて絶対に地図を渡す訳には行かねぇという事が良く分かった。


「相当厳しい賭けではあるが、1時間逃げ切った後、封印魔法に当たらない様に気を付けながら隊長を倒す。私達に残された道はそれしか無いようだ……。」


 そう決意を固めたイリーナを横目に、俺はとある策を思いついていた。

 最終確認の為に、こちらまで迫ってきていた人形に向かって例の小爆弾のスイッチを押し、投げた。


『ギギジャギィィィィッ!』


 おおよそ人形とは思えない程に醜い叫び声を上げながら、爆風と共に人形は飛んでいった。


「そんなアイテムも持っていたのか……。それならば逃げるのにもまた希望が出てきたな……。」


「いや……俺はもう確信したぜ、逃げ切れるってな……。」


「何……?」


 このアイテムはそんな重要じゃない。この場に置いて重要なのは、予め作っておいた魔法道具は、封印下でも正常に使えるという事だ。


「へへへっ……隊長さんよ……。今からあんたの度肝を抜いてやるぜッ!」


 俺は自信満々に宣言した。

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