表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/70

第22話:真実

「クラジレン……。少し話があるのだが……ん? 何をしている?」


「いや、ちょっと紙を折ってたんだよ。んで、どうした?」


「あぁ……実はな、目撃者の所に話を聞きに行けるそうなんだ。」


「目撃者!? 災害の目撃者が居たってのか!?」


「あぁ、元々は、何かに怯えていて話も聞けないような状態だったのだが……。最近話すことが出来る様になってな、私達も聞きに行こうと思ったのだ。」


「おう! 分かったぜ!」


 目撃者か……! ラッキーだ。災害を見た奴が居るってんなら、幾ばくか話が分かってくるかも知れねぇ。


「よし、早速行こうぜ!」


「あぁ、分かった。分かったからそう急かすな。」


 俺は早速、イリーナと共にその人の元へと向かった。


ーーー


 目撃者だと言っている人は、ガチガチと歯を鳴らしながら、顔を真っ青に染めていた。

 被った布団で身を護るかのように、ガッチリと締めている。


「おい、大丈夫か……?」


 予想以上に顔色がやべぇ……。それに震えも酷くて、話を聞けるって感じにはとても思えねぇ……。


「心配するな、私達は君の味方だ。君の街を潰した男は、確実に捕らえてみせよう。だから、話を聞かせてくれないか?」


 イリーナが精一杯の優しい声で、彼に言い聞かせていた。そいつは、コクコクと頷きながら、口を開いた。


「あの時、僕はキャンプをしようと思って……偶然高い山の上に居たんだ……。」


 目から涙が滲み出ていて、その顔には深い絶望の色が刻まれていた。


「そして、そこから見える星と、街の景色を眺めていたら……。上空から急に津波が降ってきて……!」


「津波が……降ってきた……?」


「嘘じゃないんだ……。本当に凄い勢いで降ってきた津波は全ての家を叩き潰して、街を全部流しちゃった……。」


 とんでもない状況だ……。そりゃ確かに津波が降ってきたと言いたくなるのも分かる……。


 ん? 津波……?


「なぁ……津波って事は……上空から水が降ってきたってのか?」


 そいつは、コクリと頷いた。

 上空から津波のような勢いで水が降ってきた。

 そして、その現象が起こったのは……俺が来たばかりの頃だ。正確には、魔法で失敗した……あの瞬間じゃないのか……。

 


「いや……そんなはずは……ねぇ……。」


 今まで不思議だった事が……全て辻褄が合う。信じられない様な話が俺の中で出来上がっちまった……。しかし、しかしこんな事が……あるはずがねぇ……。


「おい……どうしたクラジレン?」


「……ッ!」


 俺は彼女の手を振り解き、外へと走った。


「待て! どうしたんだ!?」


 待つ訳にはいかなかった……。どうしても、どうしても試したい事があった。


 俺が来た日に起こった出来事……。水の魔法による災害で、俺の魔力の跡が残っている。


 この事に聞いて、俺の頭の中に浮かんだのは、あの濡れていない地図だった。


「はぁ……はぁ……ッ! 俺はいったい何考えてやがるッ! 絶対、そんなはずはねぇってのにッ!」


 しかし、俺は既に水辺に来ていた。ここまで来たら……もうやるしかねぇ……。

 俺は、地図の茶色い部分。今俺が居る所の、すぐ近くに、一滴だけ水を落とした。


 その水滴は、地図に入り込む様になりながら、消滅した。


「なんてこった……。」


 そして、俺の目の前の海に、丸く、東京ドームが一つ入りそうな程に巨大な水が、落ちていった。


「……そういう事かよ……。」


 とんでもねぇ地図だ……。俺の放った一滴の魔法が、これだけでかくなっちまっている。


 もし……これが完全な水魔法なら、もしこれが、暴発したあの魔法だったなら……。どんな事になるか……。その答えはもう出ている。


「クラジレン……。これは、いったい……。」


 後ろから追いかけていたイリーナが、呆然とした目で、こちらを見ていた。


「……あぁ……そうだ、どうやらこの事件。俺が犯人のようだぜ……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ