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第18話:心配

「しかし……本当に見つからねぇもんだな。」


 捜査を始めて約2日程。まだ犯人の目星すら付いてねぇ……。

 そもそも、一回の犯行で殆ど手掛かりを残してないし、あの災害以来他の場所で被害も起こっていない。


 完全に姿を晦ましてしまった……。


「ふぅ、何も分からんな……あまりにも不自然だ。」


 眠そうに半眼になってしまっている目を擦りながら、イリーナが書類に目を通している。

 俺も書類を読ませてもらった事はあるが、結局の所、犯人については何も分からなかった。


 どこに潜んでいるのか、何の為にあんな事をしたのか、どうやって犯行に及んだのか……。

 その辺りがまるで分からない。

 それに、あれだけ大規模な魔法を発動しておきながら、目撃者は殆ど居ないのだ。


 はっきり言って手詰まりだ……。こうなってくると、どうしようもねぇ……。


「クソ、何とかして暴く方法は無いものか……。」


 更にイリーナはそんな事ばかり言って、頭をボリボリと掻いている。


「なぁ……ちょっとは休憩を取った方がいいんじゃねぇか? 流石に根を詰めすぎだぜ……。」


「そういう訳にもいかん、確保するのが遅れれば、また新たな被害者が出てしまうかもしれないんだぞ……。」


「……なら、せめて飯でも食おうぜ? 犯人を逮捕する際には体力も必要だろ!」


「そうだな、その内食べておくから放っといてくれ。」


 そう言って、彼女は再び書類に目を通し始めた。


「そ、そうじゃなくてな! 今すぐ休憩したりとか食事したりするべきなんだって!」


 今すぐぶっ倒れそうなぐらいに、明らかに無理してる顔色だ……。

 流石に放っとく事が出来なかった……。


 しかし、次の瞬間、イリーナはハァ、と溜め息を付き、書類から目を離した。


「やかましい。そんな事はお前が気にする事ではないだろう?」


 イリーナは今まで見せた事の無いような睨みを効かせてきた……。それに対し、俺は後退る事しか出来なかった。


「悪い……。」


 ここに来て、ようやく俺はお節介を掛けてしまっていたのだと言う事を理解した。

 要らない心配で、彼女の気分を害しちまった……。


「……分かったのならいい……。とにかく、お前が休憩をしたらどうだ?」


「おう……。」


 俺はその場から離れ、街の方へと出た。

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