第15話:寮
俺達はあの現場から帰ってきた。
そして、今日はもうする事が無いらしい。
そんな中、俺はある程度考えておかねばならない問題に直面した。
「どうすっかな……。寝る場所が無いんだよな。」
今はまだ昼だ、夜になる前に寝床について考えておかなきゃならねぇ。
「ん? 寝る場所が無いなら、軍の寮で寝ればいいじゃないか」
どうすっかなと頭を掻いていると、イリーナがそんな提案をしてくれた。
「軍の寮……? 借りれんのか!?」
「あぁ……。汚したりはしないとか、最低限の礼儀は守ってもらう必要があるがな。」
「大丈夫大丈夫! それぐらいならどうって事ねぇよ!」
寮を借りるならそれぐらいの事は当然だろう。
勿論、汚してしまっても拭いたり、あまり大きな音は出さなかったり、とかそういうのを守るつもりはある。
「それじゃぁ、ちょっと寮を借りさせてもらうぜ! 誰に許可を取ればいいんだ?」
「ん? あぁ……寮に関しては私が申請しておこう。」
まじか……イリーナめっちゃ優しい奴じゃねぇか……。
「その、ありがとな……。俺みたいな得体の知れない奴に……。」
「得体が知れない、という自覚はあるんだな……。」
「まぁな……。」
何せ俺は異世界転生者だ。彼女達から見れば、相当異質な所があってもおかしくない。
そもそも、犯罪者でない事は証明出来たけど、あの島に住んでいた謎の住人って認識になってるのは間違いねぇはずだ。
まぁ、そうなるとただの転生者だって事を言うのもありかも知れねぇが。突拍子の無い話でもあるし、今んとこ頑張って信じてもらう必要のある話でも無いしな……。
「ともかく、ちょっと出掛けてくるぜ。街の外までな。」
「ふむ……何の用があるかは知らないが、少し待て。」
そう言って、彼女はこちらに近寄ってきた。
「お、おう、何?」
「外には崖があってな。相当危険な場所だから教えておこうと思ったんだ。」
「あ、あぁ……そういう事か。」
俺は早速地図を出し、イリーナにその場所を示してもらった。
「この崖は相当危ないからな。落ちた先は水面とはいえ、人が死ぬ程のものだ。」
そんな場所に崖なんかあったのか……。島から脱出した時、そこに向かってたら、終わってたかもな……。
まぁ、あそこからこの場所が近いって訳でもねぇけどな。
「なにはともあれありがとな! 崖の方には行かない様にするぜ!」
「あぁ、そうしておけ。」
イリーナはニッコリと笑い、俺の方へ手を振ってくれた。
正直、俺はそれだけでテンションが上がった。美人の見送りという物凄くありがたい状況を俺は経験したのだ。
俺は外に出た後に不意に笑みが溢れた。
「フフフ……生きててよかった!」
そう叫びながら、外の方へと向かった。
「よし、素材集めをしに行くか! 何というか、燃えてきたぜ!」
この軍には色々お世話になっている。
俺だけ重要な時に大した事が出来ないという訳にも行かねぇし、何かアイテムを持っといた方が良いだろう。
俺はそう考え、外でアイテムを作れる素材を探しに行く事にした。




