第13話:名前
「いやぁ、やっぱり牢屋の中になんて居るもんじゃねぇな! 床は硬えし!」
腕を伸ばしてみると何となく肩が凝ってる様に感じがする。
今日、俺はようやく牢屋から出られる許可を貰えた。
何というか、牢屋から出ると外の空気が美味しく感じる。
俺は目一杯深呼吸をして、彼女の方へと目を向けた。
「そういや、あの件ってどうなった?」
あれから考えてみたが、災害についての捜査をするってのに、一般人が関わるのは良い事ではないだろう。
断られても文句は言えねぇな、と考えていたのだが……。
「あぁ、捜査に協力しても良いそうだ。」
「えっ!?」
まさか許可が下りるとは思っていなかった。
上層部は随分と寛容的なのかも知れねぇ。
何はともあれ、許可が下りたのなら全力でやるまでだ。
「よし、早速何やるんだ?」
「事件が起きた場所の確認だな。何か手がかりが残っているかも知れん。」
なるほど……床に落ちてる繊維とかを調べるアレか、そういう作業だってんなら、土を掻き分けてでも見つけてみせるぜ。
「よし、行ってみようぜ! 因みに、他に確認をする人とかは?」
「いや、居ないな。今回場所の確認に向かうのは私達だけだ。」
2人だけか……。意外と少ないんだな。
よっぽど人手不足なんだろうか。
「1度調査は済ませてあるんだ。今回のは再調査だからな、人数も最低限になっている。」
顎に手を当て、考えていると、彼女がそう教えてくれた。
「あぁ……なるほど。」
1度調査を済ませてるってんなら、2人でもおかしくはねぇか。そもそも、一週間前の出来事だしな。
「まぁ、いいや……。とにかくよろしくな。えーっと……。」
「あぁ、私の名はイリーナだ。君は?」
イリーナか。なんつーか、当たり前だけど異世界の名前って感じだよな……。
どうすっかな……。俺の名前、日本の名だから、ちょっと異世界だと異質な感じになっちまうんだよな……。
つっても、いくら異世界に合わないからって、親から貰った名前を変えるってのもなぁ……。
「おい、どうした?」
彼女が不思議そうに、こちらの事を覗き込んでいる。
ちょっと、疑い持たれてるよな……。どうすっか、やっぱり正直に話すのが一番か……。
いや、待てよ。
「俺の名は……クラジレンって言うんだぜ。」
異世界っぽい名前じゃないなら発音を変えちまえば良いんだ。おかげで中々それっぽい感じになった。
やっぱり、発音を変えるだけで、異世界に馴染める名前を付けてくれた母ちゃん天才だな。
「クラジレンか……。分かった、覚えておこう。」
「おう、よろしく頼むぜ! それと……イリーナって……呼び捨てでもいいよな?」
「あぁ、構わない。」
良かった。俺はさまとかちゃんとか着けるのは少し苦手だからな……。安心したぜ。
「さてと、名前も分かったところで、早速向かうとしようか、ここから西に3キロの所にあるからな。」
「3キロか……。分かった!」
近い様で遠い様な距離だな……。まぁ、そんなもんか。




