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9 婚約者との初顔合わせ下(メリル視点)

私達はお城での顔合わせも終え、ペンルイス侯爵家の屋敷へと帰宅する。


「殿下との顔合わせはどうだった?」


「はい、良い意味で一般的な王族の方とは程遠い存在かと。お互いの呼び方を決めるときにマクリッド様は私に最終決定権をゆだねられました。普通であれば王族なのですからその様なことはありえないことだと。」


そう、私はマクリッド様よりも爵位が低い侯爵家の娘なのだ。本来、王族であるマクリッド様は私に命令をすればそれだけで済む話なのだ。


「確かにそうだ。一般的な王族、いや、この場合は自分よりも下の爵位を持つ人間にそのような確認をとる必要はない。だからこそ、お前の夢を諦める必要はないかもしれないな。いずれ、互いになんでも打ち明けられるような仲になればお前の気持ちを伝えてみなさい。」


マクリッド様が私に訪ねてくれたあの一瞬、私はなんだかおかしくなってしまって、思わず緊張が緩んでしまったのだ。いつもなら絶対にしないミスだ。でも、そんな彼だからこそ、私はこの押し殺した感情を伝えることが出来るのかもしれない。


「はい、時期を見て打ち明けてみることにします。それでもダメな時は諦めることにします。何故だか分かりませんが、マクリッド様のためになら諦めてしまっても惜しくないような気がするんです。」


「おや、これは良かったと喜べばいいのかな?そういえばお前が人前で笑うことなんて珍しいよな?あの時は一瞬だが笑っていたようでとても驚いたぞ!お前は昔から感情を人前で出すのが苦手だったからな、そのせいで心無いことを言うもの達も多かっただろう?」


そう、私は感情を表に出すことがとても苦手だ。他の貴族家の令嬢たちは社交界でも笑顔で笑い合っているが私にはそれはとても難しいことだ。


そのせいで話しかけても不愛想だとか、怒っているのかと言われてしまい、みんな私の元を去ってしまう。私自身もこんな自分を変えなければならないと努力はしているものの、こればかりはどうしても上手くいかない。


「確かにそのような言葉を投げかけられたことはよくありました。ですが、それはもういいのです、慣れてしまいましたから。ですが、今日の私を見てマクリッド様はご不快に思われなかったでしょうか?私にはそれだけが心配です。せっかく、こちらからの婚約の話をお受けしていただいたのに私がこのように不愛想な態度ではご気分を害されたのではないでしょうか?」


「メリル・・・。いや、大丈夫さ、殿下であればきっとお前のことを理解してくれるさ。お前がうっかり笑ってしまったほどなんだ。時間さえかければ、いつか殿下の前でも笑って暮らせるようになるさ。」


今日初めて会ったばかりだけど、私は少しだけマクリッド様を信じてみても良いかもしれないと思えたのだ。あと、もう一度だけ、誰かを信じてみても良いかもしれないと思えた瞬間だった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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