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17 引きこもり爆誕!

俺は今、城の自室に籠り切っていた。今日で引きこもり生活は一週間である。気づけば、俺の15歳の誕生日パーティーは過ぎ去っていたがそんなものはどうだっていい。


彼女との件があってから絶賛、凹み中だ。だってさ、初恋の相手だぞ、そんな相手にいきなり追い出されるなんてもう立ち直れないだろう。


なんか、城のメイドたちが何回か俺の部屋に訪れてきたが全員返ってもらっている。しばらくは誰とも会いたくない。それに、なんだかんだ言ってこの部屋、案外快適なんだ。


王族の部屋だから運動もできるくらい広いし、トイレもある。料理だって時間が来れば部屋の前にメイドが置いてくれる。引きこもりにとって、ここは天国かもしれない。


そんな中、部屋の扉が開く音がする。ん?誰だ?この部屋には誰も入らないように命じてあるはずだから入ってくる人間はいないはずだけど。新人のメイドの子が間違えて入ってきてしまったのかな?


俺がそんなことを考えていると姿を現したのは親父だった。


「えっ、親父?いったいこんなところで何をしているんだよ?」


「それはこっちのセリフだ!たくっ、面倒をかけさせるなよ。引きこもって部屋から出てこないって聞いてたから一応は心配をしてやったが、普通に元気じゃねぇか!


これならメイドたちに命じて飯抜きにしてやるんだったぜ!」


いや、親としての情けはないのか!いまどき、兵糧攻めとか残酷すぎるぞ!俺は断固として抗議する。


「たく、変なことを考えてないで、さっさと行くぞ!」


「えっ?行くってどこに?俺、今引きこもり中なんだけど?」


親父はそう言うと俺の返事など気にすることもなく、首根っこを掴み、俺を部屋から引きずり出す。おい~、俺の話くらい聞けよ!


ということで俺は親父に引きずられたまま、一室へと連れてこられる。マジで恥ずかしかった、ここに来る途中でいくら放してくれって言っても、”お前、離したらまた部屋に引きこもるだろうが!”と言って一向に離してくれない。


ここは王城だ、城にはメイドや貴族達だっている。長い廊下を引きずられている俺がそんな彼らに出会わないわけがない。


あるものは国王が王子を引きずり歩いている事態に仰天したり、怪訝な表情を浮かべたり、笑ったりしている奴もいた。


チクショーこれでも王子なんだぞ!俺にも一応威厳というものがあるんだからな!お前、顔は覚えたからな、せいぜい寝首をかかれないように気を付けておけよ。


なんて馬鹿なことを考えてみたものの、恥ずかしさは誤魔化すことが出来なかった。だって、想像してみてくれよ。俺はもう15歳なんだぞ!15歳と言えば前世ではもうすぐ高校生だ。そんな奴が親に引きずられていく構図を見たことがあるだろうか?俺は見たことがない!


そんな奴がいれば瞬く間に携帯で写真をとられ、SNSで晒し者確定だ。俺はあまりの恥ずかしさから借りてきた猫のようにおとなしくなるのであった。


そんなこんなで、俺がおとなしくしていると親父はある部屋のドアを開け、その中に俺を放り込む。


へぷっ!


俺は顔面から床に叩きつけられ、つぶれたカエルのような変な声を出す。こんなの漫画の中の話だけのはずだろ!現実でへぷっとか、聞いたことがねぇよ!


親父は俺を部屋の中に投げ入れると、すぐさま扉を閉める。ちょっと待て、もしかして俺から快適な部屋を取り上げるためだけにこんなことをしたのか?


自室以外の場所ならあきらめて出てくるだろうという親父の目論見のためだけのためにわざわざ俺は恥ずかしい思いをしながら引きずられてきたのか?


良いだろう親父!徹底抗戦だ、部屋を変えたくらいでこの俺が根を上げると思っているのか?そうであれば大間違いだ。一カ月でも一年でも引きこもってやるぜ!


俺は親父との徹底抗戦を決意していると後ろから俺に声をかけるものが現れる。


「あの、マクリッド様?大丈夫ですか?」


俺はその声の主を確認する為に振り向く。そう、この声の主は一週間前に分かれたはずのメリルだった。おっと、これは何とも気まずい状況だ。俺はこの時、ようやく親父がここに連れてきた理由を理解することが出来た。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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