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11 冷たい目で見られてしまえば同意せざるを得ない

「それで、今は何をしているんだ?やけに会議が白熱していたけど?」


俺のそんな疑問におばちゃんが答えてくれる。


「あぁ、これは次の新たな新商品を売り出すのに何を販売しようか考えていたんですよ。この人たちがお酒が良いなんて言ってるんですけどね、そんなもの売れませんよ。


下手に粗悪なお酒を売り出してしまえば家の名前に傷がつくことになりますし、そうなればどうしても価格が高くなってしまうんです。そのため、どうしても貴族用のもの以外を販売できなくなってしまうんです。私たちとしては一般用の製品を売り出したいと考えているんですが。」


「良いじゃねぇか!うまい酒にならいくらでも金を使えるだろ!」


「バカ!それはあんただけだよ。普通の人間なら酒にいくらでも金を使うわけがないだろ!」


このおじさんは酒に関することになるとバカになるんだろう。おばちゃんにゲンコツを食らっている。あんたも商人なら採算を考えろよ。普通の人間が酒のためだけに生きているわけがないだろ。


まぁ、何だかんだ、この人たちは良いコンビなのかもしれないな。俺がそんなことを考えていると部屋に訪問者が現れる。


「失礼します。お嬢様、商業組合の副会長様がいらっしゃっているのですが、いかがなさいますか?」


「えっ、副会長がいらしているのですか?ですが、私は今、手が離せないのでしばらくお待ちいただくしか。」


おっ、これはチャンスかもしれないな。重要な案件なら彼女抜きでこのおばちゃんに普段の彼女の話を聞くことが出来るし。というか、商業組合の副会長なんて重役を相手するのは侯爵の役目なんじゃないのか?なぜ、彼女が相手をするんだ?


「メリル、副会長というのは?」


「申し訳ありません、今年から商業組合とのプロジェクトを私に任せているんです。その関係で副会長との打ち合わせが多くなってしまいまして。フットワークが軽い人でいつの間にかいらしているんですよ。」


なんだそれ、ある意味すごい人だな。事前連絡なしに来ても屋敷にいなかったらどうするんだよ。まぁ、そんな性格のおかげで今回、俺がここに来た目的も果たせそうだけど。


「あぁ、それなら仕方ないだろ。せっかく侯爵から任せてもらえた仕事なんだから副会長と打ち合わせをしてきたらどうだ?別に俺のことを気にしているのなら大丈夫だから。」


「いえ、それは流石に申し訳ないです。」


「大丈夫だよ、俺はこの人からメリルの昔の話でも聞いておくから。」


とりあえず、何かと理由をつけて俺は彼女をこの部屋から引き離す。これから聞きたいことを彼女がいる目の前では流石に聞きづらいからな。


「マクリッド様がそこまでおっしゃられるなら、少しだけ副会長と打ち合わせをさせていただきます。ですが、私の昔話を聞くのはやめてください、すぐに戻ってきますのでお菓子でも召し上がってお待ちください。」


そんなに昔のことを聞かれるのが嫌なのか、良いじゃん、好きな人の昔話とか聞いてみたいじゃん!まぁ、そこまで嫌なら聞くのはやめるけど。


「あぁ、そこまで言うのならお菓子でも食べておとなしく待っているよ。」


「ありがとうございます、それでは、お二人とも副会長との打ち合わせに参りましょう。」


彼女がそう言うと、酒に目がないおじさんと俺にサインをねだってきたお兄さんが立ち上がり彼女と共に部屋を出ていこうとする。


「あれ、二人も打ち合わせに参加するの?」


「はい、二人とも今回のプロジェクトの要である部分を担当していますので必要なのです。」


「ほほぅ、ということは、俺は彼女と二人っきりということなんだな。つまり、こっそりとメリルの昔話を聞いても誰にも分らないというわけだ!」


俺がそんなことを彼女に告げると彼女は心底いやそうで卑下するような目を俺に向けこういった。


「絶対にやめてください。」


そんな感情がこもっていないような、軽蔑したような目で見られればさすがに嫌とは言えないだろう。


「あっ、はい。すみません。」


俺はそう言い返すことしかできなかった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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