第1話
「この世界はつまらないことだけ」だとどっかの主人公が言っていた。
なぜそのようなことが言えてしまうのだろうか。
それは、おそらく・・・。
「おい、隆晴。また、なんか想像してるのか?」
「だめよ、康太。こうなったら隆晴は自分の世界に入ってしまってるわ。」
「海子、これどうにかならんの?いつものことだから仕方ないけど。」
「確かに美空の言う通りだろうけど、もう帰ろうよ。」
「まぁ、待て、夢香。こいつの荷物持ってくれ。俺はこいつを持ってく。」
そう、このようになにも不自由なく過ごせるなら「つまらない」「おもしろい」というのは
必要がない要素であり、もっと気にすることがあるのだ。
さぁ、さて、そろそろ下校の時間だろうか・・・。
「康太、そろそろ帰るか・・・。あれ?」
「なにが『あれ?』だ。」
「もうとっくに家についてるわ。」
「今日はこっちに帰ってくるの早かったね。」
「今日は何を想像してたの?」
自分が何か考えている間にこの四人が俺を移動していることが多い。
金髪でいかにもスポーツ少年なこいつは大地康太。
自分の唯一の男友達であり、頼れるやつである。
隣にいる青髪の女子は広野海子である。
普段はなにもしないことが多いが掃除や家事が大好きである。
今、俺の隣で漫画を読んでるのが八神美空。
本読み始めても話に乗ってこれるマルチタスクな女子である。
最後が幼馴染である花苗夢香である。
こいつを怒らせた場合、とんでもないことが起こる。
そして、俺が相野隆晴。
「それでさ、今日学校で山田が・・・。」
夢香が話をしそうになった時に母親と夢香の母親が入ってきた。
「もう、あんたたち。明日は朝早いのだからいい加減寝なさい。」
「ほら、ガールズは早く帰るわよ。まったく毎日毎日同じこと言われるんだから。」
ということで、夢香、海子、美空は夢香の母親に連れてかれた。
「まったく、怖いよな。お前らの母さん。」
「なーに?康太。文句あるのかしら。」
「いえ、なにも。おやすみなさい!」
次の日、六時に寝ぼけ眼のまま二台の車は家を出発した。
俺の家の車には、俺の父親、母親、弟、妹、康太、俺が乗っかった。
夢香の家の車には、夢香の父親、母親、夢香、海子、美空、夢香の妹が乗った。
今から向かうのは静岡県の御前崎市である。
そこでお墓参りをするのが毎年の恒例行事である。
車を走らせて3時間。御前崎の灯台についた。
そこで、三つのお墓に手を合わせて海を眺めて今回の墓参りは終了した。
「おじさんたち、今年も親父たちにあわせてくれてありがとうございました。」
そう、言ったのは康太であった。
「いいのよ、これは私たちの役目でもあるのだし。」
「そうだよ。私たちも今年もこれてよかったわよ。」
「そういっていただけて助かります。ありがとな。隆晴、夢香。」
「あぁ。」
それ以上は誰も何も話さずにいた。
そのまま、二つの車は来た道を戻って家に着いた。
「いやぁ、やっぱり、埼玉静岡は長いな。」
「そうだな。毎回この会話をしてるがな。」
「あぁ、本当にありがとな。隆晴。」
「もういいって。おやすみ。」
「あぁ、おやすみ。」