写真の中の親子 一章
日曜日 午後1時 くたびれた雑居ビルの一室男女が椅子に座り迎え合っていた
「そうですか、例の失踪事件のご家族の」
眼鏡をかけた眠そうな顔をしている男が向かい合う女性に言葉をかけた
「はい 被害届を一月前に出したのですが何一つ手がかりがなく依頼お願いしたいのです」
女性は酷く疲れた顔をしていてかすれ声で話した 随分と眠れてないのだろう
依頼とはここ (橋田探偵事務所)である自分(橋田 亮)が経営してる
俺は滅多にない依頼の話をしていた
警察の他にこんな信用もできない所に依頼を頼みに来るぐらいだ どうしようもない状況で何かにすがりたいのだろう
「わかりました依頼お受けいたします もう一度最初から事件当時の事を教えいただけますか?」
「ありがとうございます あの日夫が退社したのは会社の防犯カメラで確認ができ20時頃私は夫にLINEでメッセージを送りました」
女性はスマホ操作して亮に見せた
20時18分に妻である高橋 泉は被害者である夫 高橋 一 にメッセージを送り そして「急いで帰る!」っと返信があった
「その返信を最後にいつになっても夫は帰ってこないので通勤ルートを辿って探しましたが見つからず 警察に行きました」
「スマホのGPSは?」
「はい、警察の方に調べてもらい自宅と勤務先の中間ぐらいの場所にあるチューリップ公園で信号が消えていたと」
亮は自分のスマホを出し
「なるほど、では旦那さんの通勤ルート教えてもらえますか?」
泉と亮はスマホにデータを送り合った
「今から捜索を始めますので、ご自宅までお送りします 車は無いのですが、、、」
亮が申し訳なさそうに言う
それをそのまま返すように泉が
「いえ、そんな1人で帰れますので」
亮は顔を険しくした
「高橋さん これは自分の想像ですがもし旦那の失踪に犯人が居たとしてそれはあなたの前にも現れるかもしれません 昼とはいえ今は1人になるのは危険です」
「わかりました おねがします」
それほど距離は無かったがタクシーを使い亮は高橋家まで泉を送った
「わざわざありがとうございます 捜索の方どうかお願いいたします」
亮が返答する前に高橋家の扉が開いた
「ママ?パパは?」
小学生くらいの男の子が中から出てきた
「こらっ 私が鍵を開けるまでドアを開けたらダメでしょ!」
「ごめんなさい でもパパが帰ってきたのかと思って、、」
泉は息子を抱きしめ 頭を撫でた
高橋親子に戸締りをしっかりするように伝えて俺は捜査を始めた