復活の日2 10
冗談でもなんでもなく、宇宙皇帝と名乗ってもよさそうな秀麿が、いまだ意識なく地に横たわる聖斗に声をかけた。
「この四人、元は儂の式神だったとは言え、神獣をたずさえた今となっては、もはや最強の魔法剣士じゃ。
──
──この四人を倒すのは、お前の役目ぞ、聖斗。これぞ、師の愛の鞭と知れ!」
首を、家族に向ける。
ジャンヌ・侍女王
林崎甚助・青龍
東郷藤兵衛・朱雀
柳生十兵衛・白虎
宮本武蔵・玄武
──
「行こうか。世界征服の道──」
ふたたび、こちらを見た。
「再見 <ツァイチェン> ……」
その一言を残し、空気中にと、全員の姿がかき消えていく──
見送る、シンディ。
惚けた、チャコ。
危篤の、聖斗──で、あった。
※
聖斗が、うっすらとまぶたを開いた。
まだ、瞳に霞がかかっているようで、瞳孔が微かに揺れ動いてもいる。
くちびるが、開いた。
それは、弱々しい、小さな声だった。
「──クララ」
「!」
弾かれるように、のぞき込むチャコ──
そのチャコの顔を、焦点の定まらぬ瞳で必死に見つめ、聖斗。
「女王に……なりたくは、ないか……?」
「──!」
突然の、言葉だった。
チャコ、涙があふれた。首を振る。
「──わからない、わからないよう!」
「……お前は……」
息も絶え絶えな声。
「今回の……お前は……まるで、脇役だった……」
げふ、と咳き込んだ。
「主役に……りたくは……ないのか……」
「わからない──どうしたら──! わたしは──」
苦しげな顔。
「お前は……なんのために……村を出たのだ……?」
「──」
「……この、たわけもの……め……」
横から、白い、官能的にまで美しい、手が伸びた。
聖斗の顔に触れ、両目を優しげに閉じらす。
「お眠りなさい……」
シンディ・ブライアントが、甘やかに、ささやいた。
ここまで読んでくださった方、お疲れ様でした。そしてどうもありがとうございます。あなたには最大限の感謝をささげたいです。
この『イレお茶シリーズ』ですが、ひとまずこれで終了といたします。
物語の種明かしも今回でほとんどされてしまいました。もはや世界観とか結末とか、貴方様には容易に想像がつくと思います。そのご想像のとおりでございますですよ。
そもそもこのシリーズは、テーマもあらすじも世界観も精密に設定せず、適当に、主人公と一緒にヘンテコな世界を旅して回ろう! と思って書き始めたものなんです。
だもんだから、書き進めるにしたがって、てきとーだった設定の矛盾とか、いろいろねじれ(?)が出てきて、シリーズ途中から書き続けるのかとてもツライものになってしまいました。
とくに、「魔界」とか、そこから「死者を何度でも甦らせられる」、なんてことをしてしまったのが、自分的に致命症だったような気がします。
あと、「四天鬼」をはじめいろいろな脇キャラを作りましたが、それらを十分に活用できなかったのが反省点です。
では、ごきげよう。別の作品で出会えたら嬉しいです。
(次は別アカウントで変態的駄文を作る予定ですので、「やおたかき」では当分更新はないです。ごめん)