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復活の日2 9

 秀麿は紙片を四枚取り出すと、呪文を唱えた。紙片の消滅とともに現れたのは、三度目の復活の、あの武士たちであった。もちろん、記憶は引き継がれている。ジャンヌも余裕で出迎えたのだった。

 武士たち、どの顔も、満足げに充実している。

 二度目とは打って変わって、老人は余裕の笑みで問いかける。

「勝てたか?」

 それに対する返答は、四人とも首を横に振ることであった。

「では、負けたのか?」

 それに対する返答も、同様であった。秀麿、ニイッ、笑った。

「よかったな……」

 そして、再び大空を振り仰ぐ。

「『四神獣』よ、汝ら、この者どもと共にあれ!」

 その言葉に従って、まずは巨大なドラゴンが動き始めた。

 まるで重力波をまき散らすかのように大きな体を迫力満点にくねらせ、空を泳ぎ、こちらに向かってやってくる。

 ところが──


 こちらに近づくにつれて、どんどんと体が小さくなっていくのだ。


 三本あった首も一本にまとまり──

 手足も翼も、胴体に収納され──

 その太い胴体も細くなり、細くなり──

 ──

 こちらに到着したときには、直径3〜4ミリ、長さ50センチほどの、ほんとに紐っきれのような青ヘビへと変じ果て──そのまま、林崎甚助の刀に巻き付いたのである。

 鞘から鍔、柄へとからみつき、それは一見して、刀を装飾する浮彫 <レリーフ> のようでもあった。

 甚助、

「そういうふうに巻きつかれたら、 <傍点> 抜けなくなっちゃうぢゃないか </傍点> ……ウフフ、困るなあ」

 あらたな境地を発見した求道者のように微笑む。


 次に小さくなってやってきたのは、フェニックスであった。

 あの数百メートルあった巨大な炎の塊が、最終的には真っ赤なハチドリになって、あまっさえ「ピピッ、ピピッ」と可愛らしくさえずり、東郷藤兵衛の巨木のような巨体の回りを、肩と言わず頭と言わず飛び遊び回るのだ──

 藤兵衛は、

「おいのは、火の鳥でごわすか……フッフッフ……」

 ひどく上機嫌に笑ったのであった。


 次に来たのは白虎である。これもその途中で首が一つにまとまり、黒縞が消え、最終的にはちっちゃな真っ白い仔猫へと変じはて、柳生十衛兵の懐 <ふところ> にもぐり込んだのであった。

 十兵衛、 <傍点> これは使える </傍点> とばかりに(なにに使うんだか詮索しないが)、顎に手をやり、ヤらしく微笑む。懐の仔猫が、

「みゃー……」

 と甘えるように鳴いた。


 最後の黒亀は、そのままサイズを縮小させただけだった。宮本武蔵の手のひらに小さく、ちょこんと乗った仔亀は、首を伸ばし、武蔵とにらめッコする。武蔵の苦笑いでひとまず決着がつき、

「オレ、のは……亀、かい……」

 やはり懐へと入れられる。


 無事に納まったのを確認して、満足げに、

「四体とも仔の形態をとったのは、事実、生まれたばかりだったから、なのであろうな……」

 秀麿が所感を述べたのであった。












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