復活の日2 6
秀麿は、慈愛に満ちた眼 <まなこ> を愛弟子に向け、言葉を発せず──
ジャンヌは唖然としたままで──
ここで、いままでどこにいたのかシンディが、聖斗に歩み寄った。かがみ、男の容態を適切にチェックし始める。
そんな彼女に、ようやく、といった感じで、秀麿が声をかけた。
「むこうの闘いも、終わったようだの……」
「つつがなく」
「結果は……」
「四組八名、一人も残さず、消滅」
「互いに差異を物にし、互いに互いを征したか……」
「そのようね」
「見届けたか……」
「一部始終。四つの究極の行く末を」
「悪いが、また、呼び出す……」
「そのときは、わたしのレイピアが、お相手するでしょう」
「……」
まぶた、口中、呼吸、心拍などをチェックしていたシンディが手を止め、柔らかな笑顔を秀麿に向ける。
「で、なんの“毒”を使ったのーーー?」
「トリカブト」
よどみなく答える老人。だがシンディは引っかからなかった。ふぅと息をつき、彼女は四次元トランクに手を突っ込む。すぐに一本の細長い金属製チューブを取り出した。
「太古の時代の、旧アメリカ帝国陸軍、特殊部隊の救急備品……」
それを注射器を扱うように扱い、聖斗の首筋にあてがう。瞬間、プシュ、という何かの作動音がした。
「ナノマシン……という、なんだかよくわかんない成分が、ありとあらゆる毒を中和し、各細胞機能を肩代わりする」
老人が、げえ、と小さくうめいた。
「それ、貴重品も貴重品、だろう? 当然、政府首脳用で、あと数本しか、残存しておるまいに。いいのか……?」
「残り全部、この人のために使うわ」
「かなわん喃 <のう> ……」
穏やかに答え、そして彼は──